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【ショートショート】サイゼリヤ〇〇店#たいらとショートショート

「先にお飲み物お伺いしましょうか?」

 つるりとした銀色の頭がこちらを振り返り、通訳してくれる。

 僕は確か、駅からの帰り道をとぼとぼと歩いていたはずだ。それが突然、空から強い光に照らされ、次に目を開けた時には宇宙人らしき生物に歓待されていた。いや、歓待というか、レストランなのか?

 こちらを見ている生物は、触角らしきものをウネウネと動かしながらも僕から目を離さない。

 どうしよう。何か頼んだ方がいいのか。というか注文代は日本円でいいのか。あ、現金が無かった。ペイペイ使えるかな。そもそもこの強制入店は詐欺じゃないのか。いやこの方々に僕たちの価値観や法律を押し付けるのもいかがなものか。

「み、水をください」

 目の前に座っている銀色の通訳の方に伝えると、銀色がウネウネに短く何かを伝える。ウネウネは何も言わず通路を去っていった。

 ん? よく見れば、ここサイゼリヤじゃないか。サイゼリヤって宇宙にも進出していたのだろうか。いや、単純にこちらの方々が店舗をテイクアウトしたのか。

 周囲を見回すと色々な方々が色々なところから食事を楽しんでいる。食べ物はいつものパスタ……ではない。ギトギトした青いものや、ヌルヌルした赤いもの。カラフルに点滅して浮いているものもある。

 ウネウネが戻ってきて、僕の前に哺乳瓶を置く。中身は、黒い。

 ウネウネは銀色に短く何かを伝える。つるりとした銀色の頭がこちらを振り返り、通訳してくれる。

「ご注文はいかがなさいますか?」

(609字)




たいらさんが素敵な企画をされていたので、乗っかってみました。

創造力を掻き立てる素敵なお題なのですが、考えても考えてもバッドエンドになるのは私自身の問題でしょうか。
どなたかこのお題でほろりと泣かせる美文をお願いします。



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