【短編小説】鬼が島 #白4企画応募
(読了目安7分/約5,300字+α)
風が砂ぼこりを巻き上げ、ぼくは思わず目を瞑る。土煙を吸い込まないように息を止めたが、口の中にザラりとした感覚がある。風が止むのを待ち、そっと目を開ける。父ちゃんの乗った船はもう見えない。目の前には海と、向こうの緑あふれる大陸。
「ねえ、キニンさま。どうして大陸にはあんなに緑が育っているの? どうやって育てたらいいの?」
「さあ、どうだろうね。わたしにはわからないな」
「キニンさまでもわからないことがあるの?」
「もちろんだ。君