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短歌26「海を作る」

海辺の子手慣れた様子スイカ割り うまい打順でわたしに割らす

心凪ぎ波に攫わる足の裏 狂おしくなる還りたい海

ぼくの海 岩場の小さい水溜まり 永久機関か波が訪れ

君と海 長いスカート濡れたけど花火する頃風に揺れてた

大吹雪 川から海に出る鳥は半分眠って風に流さる

海作る 青きペンキと砂を持ち ぼろ美術館の床にぶち撒く

わんわんと蜂の中で見た海は日落ちるところ のちの静寂

黒髪を切って揃える海風の 夢の羽衣髪も虹色

鳥居ありアイヌコタンの村を見る 海は瞼で今目を覚ます

海の味涙と同じと思ってた 私のはまだ幼かったかな

蟹知らぬ歌海に溶け 親指をひたす子供の体温ぬるまる

あの海が見たい見たいね映画のさ冒頭ざぶん岩を割るよう

失礼のないよう海辺に寄り付きて広げたる山の果実を

小樽の海 身が切れるほどいと白く 長い運河の淵も見えない

轟沈の船皆で見にいく じき割れる船体いつか鳩の巣になれ

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