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詩12「ビー玉を投げる」

黒い海にビー玉を落としてかさを増す
何にもならないのメタファー
でも一日はそうして積もってく
海の底では低音のギター聴こえて
もう動けなくなりそうだけど
ギタリストの指が魅力的だから
魅入られる前に浮上する
工業地帯の真ん中に顔を出し
クルーズ船をやり過ごし
私だけの工場を見る
炎と煙の城は夜も生きている
退屈すぎる夜はアオサギについて歩く
わたしの焼けた城を見た鳥は一人
かつて女王だったわたし
ビー玉を夜の海に投げる
燃えろと思う
海を燃やせ
深海のギターがまた聴こえる
夜明けの音だ
わたしは鉄の棺に戻されて昼をゆく
ギタリストの指は魅力的だ
その指で拘束具を締めてくれる
甘い甘い瞬間ですぐ眠りに落ちる

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