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短歌14「指先の水」

水のにおい清澄白河しらじらと無数の鯉に夢齧られる

お風呂場の丸いタイルに足の裏 今はレトロか廃墟になりて

水一滴落ちてあなたを起こしうる背中鳴る音たいせつにする

噴水の冬の装備が欲しくなる胸張り裂ける水縛りけり

虹溶けるみずうみ氷切り出したブロック七色わたしのグラス

水ぬるく手に刺さらない春ひとついちごのヘタのカケラ流れず

しゃがみおりスカートの裾少し濡れ仲間と思い波が集まる

本当に困ったことを聞かせない耳の水を取る時の音

雨の日は枕を抱いて待っている雨粒の中宝石の音

暗くってカーテン閉める雨の昼 早い夜です餌ねだるベタ

滝見てたぼうぼうと落つ滝壺に震えるすすき車で眠れり

玄関に落ちてた小鳥拾い上げ百合の布団で大天使呼ぶ

赤い花落つ水面にも地面にも 眼裏沁みる寝る時の歌

雨だれに指を伸ばした幼子はきれいなものをもう知っていた

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