アメリカの電力市場について - Kick off-

転職も落ち着いて、改めてやはりアメリカの電力市場を理解することが大事だと思ったので、noteで自分の考えをまとめてみます。

背景

僕がメインで開発してきたのはV2Gという、電力自動車(EV)の電池に蓄電されたエネルギーを活用(放電、より都合の良いタイミングで充電、電圧や周波数安定化)する次世代技術です。
これにより、痛みを少なくしてEVのみならず再生可能エネルギー(再エネ)の普及を促すことができます。
ここで痛みとは、最終消費者にとっては余計な支出、間にいる企業にとっても余計な支出のことです。
そう、技術的には皆happyになるはずの技術なのですが、なんだかんだで実現されていません。
当然技術、規格、規制的な課題や問題がありますが、やはりこの痛みが本当なのか?というのが明確になっていないのが一番の問題だと僕個人は思っています。
なんなら、技術的に可能なことは以前いた会社で証明できたし、規格的にもUL 1741SCさえリリースされればほとんど十分揃っていると感じています。

ただし、規格でも最後の最後に規格開発者間でポジショントークが始まり、議論が進まなくなります。これはみてて非常にうんざりします。

こういう時に、本当にやりたいのは何だっけ?= この技術なり規格が提供したい価値はなんだったんだっけ?というのがきちんと定義、共有されていればそこに立ち返って再度議論できるのですが。。。
また自動車会社にとってみても、V2Gが最終消費者に真に訴えるものでなければ開発工数をかける理由はありません。
環境に良い、というだけで車を買う人ってアメリカでも結構少ないような。。。(個人の感覚です)

ということで、V2Gの価値を理解するにはベーシックとして電力市場を理解する必要があるので、その調査をします。(リアルタイムです)

アメリカの電力市場

電力小売自由化など、日本でもちょこちょこ電力市場の改革は議論されています。
その際によく参考にされているのは欧州だと感じます。(アメリカと同じように欧州という一括りにして良いのかは自信がないですが)

次の記事で取り上げる予定ですが、欧州はISO (Independent System Operator)が安定的な電力供給(というより電気供給)において大きな役割を果たします。
例えばドイツとデンマークで細かい役割や責任は異なりますが、ISOがいることには変わりません。

しかし、なんとアメリカにはISO(アメリカではRTO (Regional Transmission Operator)ともいう)がある州とない州があります。
例えばカリフォルニアではCAISOというISOがありますが、僕がいるコロラド州にはISOがありません。なんなら昔の日本と同じように、発送電分離されていません。

従って、アメリカの電力市場を理解しようとするにはその歴史的背景や地理的差異を踏まえる必要があるように思っています。

ということで。。。

本シリーズの予定

まずは書籍などでまとまっている欧州での電力市場をまとめます。
その次にそれを踏まえた上で代表的なPJMやCAISOと電力市場の関係をまとめます。
最後に、コロラド州などISOがいない州についてまとめる予定です。
できれば、それぞれの責任範囲をしっかりまとめたいと思っています。例えば周波数は送電事業者で電圧は配電事業者だよね、とか。。。

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