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【クラフトビール巡り】麦酒屋るぷりん

aikoかビールのことを書くというコンセプトで始めたnoteなので、そろそろビールのことについても書こうと思う。

土曜は日中のうちに、家事やら平日のうちにたまった細々とした事務作業やらを片付けるのが習慣になっている。そして、都心でしかできない買い物の用事があれば、夕方に家を出て、買い物を済ませてからクラフトビール屋に行く。買い物の用事がない時は、夕食時に合わせて直接都心のクラフトビール屋に行く。

麦酒屋るぷりんに行った週末は用事があって銀座に出ていた。もちろん、東京駅や新橋駅方面まで流れれば選択肢は増えるんだけど、銀座に一軒クラフトビール屋を見つけておくのも悪くない、と思った。

ケグは6タップで、ワインにも力を入れている。階下には姉妹店の炭火焼き屋があるので、つまみだけではなく焼き物も充実している。店員のにこやかな笑顔に誘われて、とりあえず一杯目を頼む。その日は、三寒四温の春の終わりと初夏の始まりを予感させる日だったから、「ファークライ ブルーイング」のラガーから始めることにする。

グラスは薄張りで、冷えたラガーの切れ味が普段以上に感じられる。一口目をごくりと飲んで、僕はフードメニューを眺める。あまり腹も空いていないので、ちょっとしたつまみとメインの一品があればよい。ささみと胡瓜の梅肉和えと、グリーンカレー味の鶏もも肉炭火焼を頼む。

「鶏肉がお好きなんですね」と店員さんに軽いツッコミを入れられたけど、それでも、嫌な感じがしない接客だった。「グリーンカレー味って意外に思うかもしれないですけど、すごいおいしいですよ。」そして、ほぼ空になった僕のビールグラスを見て、「そうだ、グリーンカレー味にあうビールならこちらがおススメですよ。」ということで、2杯目は「沼津クラフト」のゴールデンエールに決まった。

確かに相性は抜群だった。グリーンカレーと鶏肉は、チキンカレーだと思えば相性がいいのは当然なんだけど、丁寧な炭火焼きの香ばしさがグリーンカレーの風味に負けず劣らず存在感を放っている。沼津クラフトのゴールデンエールも丁寧なつくりのエールで、個性のある料理を上手に引き立てていた。

ひとしきりフードを食べきったので、ビール集中モードに切り替える。「リパブリュー」の69IPA。アルコール度数が6.9%ABVで、IBUも69だからこのネーミングだそうだ。

確かにIBU69なだけあってかなりホップみを感じるが、それでいてクリアでライトな口当たりだ。一口目に満足すると、僕は新しい店でよくやるように、ビールをちびちびと飲みながらぼんやりと店内を見渡した。

L字型のカウンターは7人掛けで、僕は一見さんの遠慮もあって、入口の目の前の一番端の席に座っていた。窓際のテーブル席では、常連4人組が盛り上がっている。カウンターの三つ隣には、豊川悦司に似たおじさんが、いかにも豊川悦司が被りそうな帽子を被ったまま静かにビールを飲んでいた。そして、10年後くらいの仲野太賀みたいなお兄さんが後からやってきて、トヨエツの隣に座る。どうやら二人は顔見知りの常連のようで、L字型カウンターの折れ目のところで何やら話し込んでいる。

僕と反対側のカウンターの端には、須藤叶希に似た彼女が、いかにも誠実そうな彼氏とかき氷を食べていた。そう、かき氷。この店はかき氷で有名らしいのだ。大ぶりの器にカップルでも持て余すんじゃないかというような、山のようなかき氷。鮮やかなイチゴの赤と練乳の白。世の中には、ビールを飲んだ後にカップルで楽しくつつくかき氷もあれば、苦い恋を思いながら味わう勘違いの苺味もある。aikoの新曲を聞き過ぎていたせいで、最近、かき氷は切なさのシンボルになっていたけど、世の中がもっと広くて多様なことに気づかされる。

最後の一杯は、最初にメニューを見たときから決めていた「反射炉ビヤ」の2019年のセゾンにする。反射炉ビヤはなかなかお目にかかれないうえに、よく品切れになってしまっている人気銘柄だ。だから、こういう偶然の出会いはクラフトビール屋開拓の醍醐味だ。少量サイズのみの提供だったが、代わりにワイングラスでサーブされる。確かに、質の良いセゾンはビールグラスよりワイングラスの方が合う。

店を出る間際、店員さんに「どうやってこんな分かりづらいところにあるお店を見つけたんですか?」と尋ねられた。とても、丁寧に集客のことを考えていることが伝わる。「クラフトビール屋開拓が趣味なんですが、探し方は本当にシンプルで、Google mapに『クラフトビール』と入れて検索するだけなんです。」と答えた。「なるほど」と嬉しそうに店員さんは答えて、「ではまたお越しください」とお辞儀をしたところでエレベータの扉が閉まる。

かき氷の季節になったらまた行こうかな。一人じゃ食べきれないから、今度は誰かを誘って。

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