クラビ連発足について思うこと(Positive ver.)

先日、日本地ビール協会(CBA)、全国地ビール醸造者協議会(JBA)、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)の協働で、業界発展を目指す「日本クラフトビール業界団体連絡協議会(以下「クラビ連」)が発足しました。

各団体、各ブルワリーで様々な考えがあると思いますが、「日本のビール文化の発展を願う」という点は共通するのではないかと思っています。
そのため、個々の会社での活動では限界のある部分に対応するために個社を取りまとめ、業界全体の発展に寄与すべく活動を行う「業界団体」という存在は必要不可欠だと思っています。なので、この協働はものすごく歓迎です。
懸念を感じている部分もありますが、その詳細はNegative ver. をご参照下さい。

https://note.com/beer_ale2017/n/ndfda1fcfc227

クラビ連に最も期待することは、「消費者の目に見える形での業界への貢献」です。そのための活動は多岐にわたりますが、具体的に期待することのひとつとして、全国のブルワリーの窓口となり、情報を集め、信頼できるデータを公表すること、つまり、「クラフトビールの統計を取り、公表すること」をここでは挙げたいと思います。この統計の把握と公表は、業界内外部共に大きなメリットがあると考えています。

業界内におけるメリット

現状、日本のクラフトビールの市場規模に関する統計情報は公表されていません。その結果、自社のみ、もしくは数社間でしか実態の把握・共有ができず、業界規模の把握や業界全体としての市場動向等、過去~現在の把握と将来の予測の両方が困難な状況であると思います。もしクラビ連にて情報が集約できれば、これらが可能となります。
前述の通り、情報は集約だけではなく公表してほしいと考えていますが、何も集めた情報を全て公表する必要はありません。公表することで有用な情報とそうでない情報を取捨選択し、一部情報は業界内でのみ共有することで、個々のブルワリーでの詳細な分析な予測に用いることができます。
また、後述の業界外におけるメリットも、情報の公表が知名度の拡大につながり、それが売上の向上につながれば、それは業界内部のメリットにもなり得ます。

業界外におけるメリット

業界外における最大のメリットは、統計の公表によりデータでの裏付けが取れるようになるため、各メディアで扱いやすくなるということだと思っています。
クラフトビールがより広まるためには、より多くの消費者の目につく機会を増やすことが重要だと思いますが、現状、クラフトビールをメディアで取り上げる場合、信頼できるソースが乏しく、言えることはかなり限られます。例えば、IPAが流行っていると巷で言われていても、その根拠がないため、メディアで「最も飲まれているクラフトビールはIPA」とは言えないわけです。

逆に言うと、様々な統計データがあれば、スタイル以外にも例えば「○○県1位のブルワリー」「××が唯一無二のブルワリー」等、裏付けを持った形で様々な切り口で取り上げることができ、消費者の目につく機会、興味を惹く機会が増加します。テレビでは、大手の広告も多く様々なクラフトビールを積極的に取り扱うというのは難しいかもしれませんが、多くの方がYouTubeや様々なメディアで発信を行っている現状であれば、統計情報に触れることで存在を知り、各々の活動と結び付けてクラフトビールを取り上げてもらえる可能性は以前に比べると高くなっていると思います。メディアも多様化する今、キャッチーな情報の有用性は非常に高いです。

その他のメリット

統計を取るということは、その範囲を決める必要があります。つまり、「定義」が必要になるということです。クラフトビールの定義問題は長らく議論され、様々な意見があるため全員の考えが統一されることはありませんが、少なくともこの公表により、クラフトビールに関する業界団体として、発展を目指す「クラフトビール」の定義を示すことができます。結果として用語の一人歩きを防ぐことができ、また対象の範囲が明確になることで、検索可能性を高める活動や、経営基盤の改善に関する国への要望等も実行しやすくなります。

個人的に・・・

私の目指すところは、「多様なビールをより多くの方に周知し、日本のビール文化を発展させること」です。
そんな中、クラビ連の主な活動内容として「ビール文化の啓蒙・広報活動」が挙げられていること、また、活動スケジュールに「各委員会メンバー募集」の記載もあるため、今年から本格的にビール業界のために動こうとしている私個人としても、何か役に立てることはないかと考えているところでもあります。特に、上記に記載した統計データの公表は、私がクラフトビールの発展のために最も必要だと考えていることで、どうにか実現したいと考えています。

まとめ

Positive ver. としてここまで色々と好き勝手に書きましたが、上記のような統計を収集・公表できる組織として、クラビ連は最も可能性が高いと思いますし、良い団体が発足したなと感じています。
まずは、クラビ連が業界団体としてこの必要性を認識し実行に移すこと。そして、各ブルワリーがこの必要性を認識し協力すること。この辺りが上手く回り出した時、日本のクラフトビールは、必ずもう一歩先に進めると思います。

ビールで明日を幸せに。🍻

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