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ショートショート 天気

時はXXXX年。

ある博士が天気を自在に操れる機械を作った。

その機械は世界中の国に取り入れられ、人々の生活は少し変わった。

その機械で今から10年先の"天気予定"を政府が作った。晴れの日はもちろん、雨の日も程よく予定に入れ、雪もちゃんと冬になれば困らない程度に降るようにした。晴れの日に合わせて結婚式や旅行の予定を立てればいいので人々の生活は楽になった。

人々がちゃんと四季を感じられるよう政府は季節を調整し、 桜が満開になると決まって晴れの日が続いた。

突然の通り雨ではなく必然の通り雨が降るようになった。

急な吹雪や台風で会社や学校が休むことがなくなった。

運動会や修学旅行は学校が晴れの日に合わせればいいだけなので、子供たちはてるてる坊主を前日作る事も無くなった。

その日の天気の会話もしなくなった。

これ以上ない発明だ。

そんな機械を作った博士は新しい発明に勤しんでいた。

昔なら朝起きて外の様子を伺っていた博士は最近ではもう窓の外を見ることが少なくなった。

博士だけではない。人々はあまり空を見上げなくなっていた。

気まぐれを忘れた空はその日も予定通り晴れていた。

ー おわり ー



何が起こるか分からないからこそ生きるのが楽しい、、、と思えるようになりたいかな






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