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『Beep21』真・セガハード列伝─Vol.9─体感ゲームチームが開発した「VR-1」秘話〜セガのVR開発は想像以上に進んでいた!【前編】


20年以上前にVRの最先端を突き進んでいたセガの真実が語られる座談会!

 昨今、メタバースやアップル社がHMDを発表するなど、VRの話題を目にすることが多くなってきましたが、新しい技術に貪欲どんよくなセガでは、実に20数年前にアーケードで本格的なVRに取り組んでいました。

 今回は「真・セガハード列伝」特別企画として、ナビゲーターの戸崎健司氏が、当時のセガAM(アーケード)のレジェンド級の開発者たちに声をかけて座談会が実現。

 いつもの取材記事より、かなりくだけた感じで収録が始まったレジェンド座談会は、その雰囲気を残す形でそのままにお届けしていきます。あの製品はこんな話からつながってできた...等々、貴重な秘話がレジェンドたちから次々明かされ、当時の貴重な資料もたくさん出てきます。

 前編から後編にかけて段々と話題も素材もヒートアップしていきますので、ぜひ最後までお楽しみください。

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セガのVRを手がけた人たちは数々の体感ゲームも手がけたレジェンド級の豪華メンバー

 facebookで海外のセガの家庭用ゲーム機のグループをのぞいてみると、海外のセガファンたちが今でもアツく議論しています。その中で、コントローラーについて間違ってることを事実かのように語る投稿があったので、「それ作ったのは私だけど、その話は間違っているよ」と投稿したら、ザワザワして(笑)インタビュー要望のメッセージが何件も届いたので、オープンな場で質問投稿してくれれば回答することにしたのです。

「真・セガハード列伝」のナビゲーターを務める戸崎健司(とさきけんじ)氏はセガでコンシューマゲーム機の開発部門に所属し、周辺機器などの開発を担当。セガ入社はメガドライブが発売された1988年。セガ退職はドリームキャスト撤退時の2001年。13年間セガのハード開発部門に在籍した当時の話はこちらの記事で掲載中。

 いろんな質問をもらいましたが、その1つに、名前からUS特許を検索して「これもお前が開発したのか?」と特許資料を突きつけられました。それがVRの特許でした。

 VRの特許は、AMが開発していたヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)の特許と、私が家庭用ゲーム機部門で開発していたHMDの特許と、合わせて1つにして出願されたものでした。
その資料を見ていて、そういえばAMのVRはあまり語られてないなと思ったのが、今日のインタビュー(座談会)を思いたったきっかけです。

 AMのVRを開発したのは、実は「アウトラン」「アフターバーナー」「スーパーモナコGP」「R360」などの名作や体感ゲームシリーズの開発者たち。まさにセガの体感ゲームを生み出した、AM第4研究開発部(メカトロ研究開発部)のレジェンドエンジニアです。私にとっても偉大なる大先輩。こんな人達を休日に集めてお話をうかがうなんて奇跡ですよ、奇跡。

まさにセガAMの黄金時代を駆け抜けた開発者たちが一堂に集合! 当時の現場の裏話が包み隠さず語られていきます。

 でも、皆さんだいぶ記憶が曖昧あいまいで…、さてどうなることやら。というわけで、インタビュー開始です。

【前置き:VR、HMDについて】
 今ではVRといえば、ヘッドマウンテッドディスプレイ「HMD」と同義になっていますが、当時はバーチャルリアリティという言葉の略がVRであり、それを実現するためのデバイスの1つがHMD(Head Mounted Display)でした。座談会インタビューの中ではHMD、ヘッドマウント、VRと呼んでいますが、すべてHMDのことを指しています。
 セガのAMで開発したHMDは、「MVD」(メガバイザーディスプレイ)という名称が付けられていました。MVDは、8人乗りのモーションライドマシン「VR-1」に組み込まれて使用されました。

──それではみなさんの近況を兼ねた自己紹介をお願いします。

伊藤太(いとう ふとし) 株式会社イデアゲームス 代表取締役。元セガ 第4AM研究開発部 副部長(電気設計エンジニア) ・1985年セガに入社し、1999年に退社。代表作 : 「スペースハリアー」「アウトラン」「アフターバーナー」「ギャラクシーフォース」「R360」「スーパーモナコGP」他 「プリント倶楽部2」他の倶楽部シリーズ数機種、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、メダルゲーム機等。セガ退社後は(株)サンワークス、その他複数の会社に所属し、アミューズメント系の開発業務にあたる。(株)イディアを経て現職へ。

伊藤 イデアゲームズの代表をやってます、伊藤太です。
今はアーケード機器の開発を行っています。主にショッピングセンターなどに置かれている女子向けカードゲームとか、マーベラスさんのゲーム機の開発をやっています。ソフトはやっていないので、ハードだけですが。

松野雅樹(まつの まさき)株式会社ユーノゲーミング 代表取締役。 元セガ 第4AM研究開発部 部長 (機構設計エンジニア)。1985年セガに入社、2000年6月退社。代表作 : 「スペースハリアー」「アウトラン」「アフターバーナー」「ギャラクシーフォース」「R360」「スーパーモナコGP」他「アストロシティ」「ブラストシティ」「NEWメガロ50」HMD他。セガ退職後はアルゼ(現ユニバーサル・エンターテインメント)でカジノマシンの開発に当たり、現職へ。

松野 株式会社ユーノゲーミングという会社をやってます、代表の松野雅樹と申します。セガを辞めてからアルゼに入って、カジノゲーミングマシンの開発をやっていました。今は独立して、伊藤さんと一緒にアーケード機の開発などをやっています。

土手真悟(どて しんご) セガ入社年 1987年、セガ退社年 2007年。元メカトロ研究開発部 副部長。主な開発製品 : UFOキャッチャー7、プリクラ、ジョイポリスアトラクション他。セガ退職後は 2007年株式会社AQインタラクティブAM事業部部長 (※その後マーベラスと合併)。現在は株式会社マーベラス執行役員 アミューズメント事業部事業部長。

土手 株式会社マーベラスで、アミューズメントの開発をやってます、土手真悟です。伊藤さん、松野さんには今でもアーケード機の開発でお世話になっています。

臼杵良直(うすき よしなお)株式会社A.R.S(エーアールエス)代表取締役。元セガ メカトロ研究開発部(元第4研究開発部) 機構設計エンジニア セガ入社:1992年4月 セガ退社:2001年1月。主な開発製品:セガネットマーク、カレンダー倶楽部、UFOキャッチャー800、ドリームパレスⅡ、ブレイヴファイヤーファイターズ、東京バスガイド、18ホイラー等 セガ退職後 アルゼ(現ユニバーサル・エンターテインメント)から、転籍してアルゼゲーミングアメリカインクでカジノマシンの開発に当たり、現職へ。

臼杵 株式会社ARSの代表やってます、臼杵良直と申します。
セガを辞めてからアルゼに入り、松野さんと一緒にカジノゲーミングマシンの開発などを行っていました。今の会社では、アルゼで開発していたロボット「ARISA」の事業を引き継ぎました。ロボットを活用した情報案内サービスを鉄道会社の駅などに提供しています。

戸崎 皆さんはセガのAM4研(のちのメカトロ研究開発部)に所属されていて、体感ゲームといえば、こちらの松野さん、伊藤さん、このおふたりがほぼシリーズすべてを開発されました。体感ゲームの神様です。

▼参考

土手 松野さんがメカ屋さんで、伊藤さんが電気屋さん。

伊藤 吉本(昌男)さんがやったかのように、書かれている記事もありますが(笑)。

土手 まあまあ。体感ゲームはやっぱりこの2人ですね。

戸崎 土手さんは企画、ということでいいんですか?

土手 企画です。体感ゲームはやってなくて、テーマパークとか、VRとかの企画です。

臼杵 僕は機械の設計を行いました。セガがVRに着手していたころはまだ会社に入って間もない頃、多分2年目ぐらいでした。

伊藤 うちのチームで、構造設計を担当してたよね?

臼杵 そうですね。VRのディスプレイまわりの機構は全部担当しました。部品のチョイスとか色々です。

戸崎 私も臼杵さんにいろいろと教えていただきました。

臼杵 教えたというより、一緒にやりましたよね。

戸崎 大部分を教えていただきましたけどね。あのとき、2年目だったんですか?

臼杵 2年目ぐらいだと思います。

戸崎 当時は「この人は天才だ」と思いながら話を聞いてました。
ということで、ものすごい神のような人たちが今日4人そろっているので、私は実はめちゃめちゃ緊張しています。

あまり語られてこなかったセガAMのVRについて

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