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点滴ルームへようこそ 4

Day 4

救急外来で点滴を受ける。
日曜日は一般外来が閉まる。
その対策として救急外来の処置室で点滴を受けることになっている。
注意書きに『救急患者さんが優先となるため、多少お待たせすることもあります。ご了承ください』と書いてある。
そりゃそうだろう。というか、救急の現場で点滴を受けれるというのが私としては予想外なのだけど。
救急外来のインターフォンを押して用件を伝えると解錠されて中に入れてくれた。
中の様子は今のところ緊急を要する患者さんはいないようで思ったより静かな感じがしてホッとした。でも殺伐とした雰囲気にはどうしてもあぁ…という気持ちになってしまう。
外来の看護師さんとはまったく違う雰囲気の看護師さんに案内されて一番端にあるベッドに寝るように促される。
椅子席はないんだな…そりゃそうか…とひとり納得する。
余計なことは何も話さない看護師さんのテキパキとした対応を見ていると、日々の仕事内容が想像できるようで、いろいろあるんだろうなと思う。
ベッドに横になってしまうともう本を読んだりスマホを覗いたりできないから寝るしかないなと思っていたけど眠れない。
どこからか聞こえるピーピーという電子音や医師や看護師が移動式の机でパソコンを操る音などがひっきりなしに聞こえる。
いつもの点滴ルームの不自由の中の自由っていうのはまったくなくて殺伐とした部屋と無機質な天井と見たこともない難しそうな機械が見えるだけだ。
あぁ、ヘコむわ。
いつもの点滴ルームが恋しい。いつもの笑顔の看護師さんが恋しい。

しばらくすると、救急外来の電話が鳴った。
医師が出て何やら話している。
「じゃ、お待ちしてます」という言葉で電話は切れた。
医師が他のスタッフに「レントゲン用意して」「念の為CTも」などの指示が入る。
あぁ、救急の患者さんが来るのだな…とドキドキする。
私が使用しているベッドのカーテンが少し開いていたのだけど、看護師さんが完璧に締め切った。
孤立。

その患者さんがまだ到着してない様子なのにまた電話が鳴った。
またか…
慌ただしくなってきた。
ワサワサとした気持ちを持ったまま1時間が過ぎて、私の点滴が外された。
「怠いようでしたらしばらく休んでいかれてもいいですよ」と言ってくれたが「いえいえ大丈夫です」と周りを見ないように処置室を出た。
処置室の外にある待合室では先ほど運ばれた方の身内の方らしき人が何やら書類に書き込みをされていた。

いろいろある。
でも救急外来での点滴はもうこれっきりにしたい。

気分転換をしたくてカフェに寄る。
ほとんど飲めないけどコーヒーを注文して啜るように数回飲んで落ち着く。
明日は点滴ルームに戻る。
やっほ〜!という変に前向きな気持ちで帰宅した。


2023.2.5(日曜日)4回目が終わった。
5回目へと続く…

読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。