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noteは小説より奇なり

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時々、思いついたら書いている小説集です。 連続短編小説「短い時間の長い瞬間」「Stairway to Heaven」「不幸中にしか幸せはないのか...」など
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#連続短編小説

再会の合図は不確かな事情により

短い時間の長い瞬間 15話[再会の合図は不確かな事情により] 菜津が勤める会社の休憩室では…

イトカズ
2年前
39

あふれんばかりの奇妙でわがままな願望

短い時間の長い瞬間 14話[あふれんばかりの奇妙でわがままな願望] 綾乃は3時の休憩時間に剣…

イトカズ
2年前
44

忍従せざるを得ない不機嫌な人生

短い時間の長い瞬間 13話[忍従せざるを得ない不機嫌な人生] 菜津は会社を2時半で早退して…

イトカズ
2年前
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失われた世界について止まらない悲しみ

短い時間の長い瞬間 12話[失われた世界について止まらない悲しみ] 剣志は2日間の有給を取…

イトカズ
2年前
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頭の中を占拠する悪たちの夜のはじまり

短い時間の長い瞬間 11話[頭の中を占拠する悪たちの夜のはじまり] 剣志は綾乃から、「美涼…

イトカズ
2年前
39

それは恐るべき時間の始まりにほかならぬ

短い時間の長い瞬間 10話 [それは恐るべき時間の始まりにほかならぬ] 菜津は検査着に着替…

イトカズ
2年前
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確信に基づくささやかな堕落

短い時間の長い瞬間 9話 [確信に基づくささやかな堕落] 小春日和っていうのだろうか、空は晴れわたり温かい空気がオフィス街を包んでいた。 自転車通勤をする者にとっては好都合な気候ではあるが、剣志の心の中は真冬の嵐といったところだった。 昨夜、綾乃とのデートの後にかかってきた電話は酔っ払ってグダグダになった美涼からだった。周りの囃し立てるような男女の声の中で美涼は舌が回らない調子で言った。 「剣志、頼みがあんの。お金貸してくれない?」 「いきなり何言ってんの。酔っ払ってんの?

わずかな絶望に、わずかな狂気を

短い時間の長い瞬間 8[わずかな絶望に、わずかな狂気を ] 「おまえさぁ〜、子持ちでもまだま…

イトカズ
2年前
45

またひとつ別の時空が動き始める

短い時間の長い瞬間 7[またひとつ別の時空が動き始める] 菜津は総合病院の消化器内科の診察…

イトカズ
2年前
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東京駅の光の当たらぬ深い沼

短い時間の長い瞬間 7[東京駅の光の当たらぬ深い沼] 剣志はしばらく言葉が出なかった。 人間…

イトカズ
2年前
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男は過去にこだわり、女は今にこだわる

短い時間の長い瞬間 5[ 男は過去にこだわり、女は今にこだわる ] 「剣志〜、ごめ〜ん」 叫び…

イトカズ
2年前
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見知らぬ人々の見知らぬ時間の中にて

短い時間の長い瞬間 3[見知らぬ人々の見知らぬ時間の中にて] 行き慣れないカフェはどうも居…

イトカズ
2年前
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さまざまな人生に、それぞれの1時間を

短い時間の長い瞬間 4 [さまざまな人生に、それぞれの1時間を] 老夫婦とみすずとかいう女性…

イトカズ
2年前
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信号待ちの彼方にセスナ機のまなざし

短い時間の長い瞬間 2[ 信号待ちの彼方にセスナ機のまなざし] * 高東剣志は自転車で会社に向かっていた。 会社は家の最寄り駅から2駅目にある。以前は電車で通っていたが、感染予防のために自転車通勤に変えて1年半が経とうとしてる。 いつもこの交差点で赤信号に引っかかる。それだけ自分が家を出る時間が正確なのと自転車を漕ぐ時間が一定なのだろうと思うと、何となく真面目すぎる自分が嫌になることがある。いつも同じ時間にちゃんと出社する剣志を同僚たちは嫌味を込めて「高東は真面目だねぇ