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[私小説] 霜柱を踏みながら

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私小説です。時系列でなく、思い出した順番で書いてます。私の個人的な思い出の物語です。
このマガジンは私の私小説風のエッセイで、月に3本くらい2000文字前後の作品を投稿していく予定です…
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2021年7月の記事一覧

あまりに瑣末で、あまりに余毒。

一歩進むごとに、過去の一歩が失くなっていく。 いつかこの場所もゼロになってしまうのだろう。 『霜柱を踏みながら 17』 母の命日になると思い出すことがいろいろある。それは良いことより悪いことの方が多いのが玉に瑕で、いつも母の写真の前でため息しか出ないのである。古いアルバムに母と私が中学校の校門の前で寄り添うように写っている写真がある。春の日差しに眩しそうな顔をした私とにこやかに笑う母。でも私の眩しそうな顔は決して日差しが眩しかったわけではない。それは苦痛に歪んだ顔だというこ

世界一優しいヤクザが真中夜を駆ける

一歩進むごとに、過去の一歩が失くなっていく。 いつかこの場所もゼロになってしまうのだろう。 『霜柱を踏みながら 16』 私がまだ小学校に上がる前の話である。小学校3年生の時に奈良に引っ越すまで私たち家族3人は大阪市内でアパート暮らしをしていた。2階建てのアパートの2階の一番奥に私たちの住まいがあった。私は小児喘息という病を持っていて、幼稚園に在籍していたもののその病のせいで半分も通うことができなかったと聞いている。よっぽど気分がいい時は通園していたが、それでも途中で発作を起