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映画で知り、本で生き、舞台で弾ける。

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映画、本、観劇の記録です。 この3本の柱でわたしは成り立っています。
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#ドラマ

ドラマ 『季節のない街』

ドラマ『季節のない街』全10話見終わった。 大人の切ないおとぎ話である。 みんな、愛おしい存在だった。 ひとつひとつのエピソードだけを拾っていくと、それはよくある話ではあるが、宮藤官九郎の手によって人間の根底にあるさまざまな思いが、これでもかと見る者に訴えてくる。 このドラマの原作になっているのは山本周五郎の同名小説『季節のない街』で、以前は黒澤明監督がこの原作を元に映画『どですかでん』(1970年)を撮っている。 もちろん今回のドラマは時代を現代に置き換えて作られているの

松本まりかの皮膚感覚に怖さを感じる

小説、ドラマ、演劇の連動企画で「向こうの果て」が始まった。ドラマでは松本まりかさんが主演をやると聞いて期待が高まった。まず小説を読み始めた。著者(竹田 新)は最初から松本まりかさんをイメージして書いたのではないかと思うほど私の中ではピッタリと当てはまった。この台詞はこんな感じで言うだろう...と想像しながら読み始めた。 松本まりかさんの少しかすれた声や皮膚が薄いのではないかと思わせる中身が透けて見える不安定さのようなものが私は以前から好きだった。かすれたか細い声は女の底にあ

誰もが小林聡美になりたがる

SNSのフォローは海外のモデルや女優やとんでもないセレブだったりして、やれ流行のメイクがどうの、着ている服がどうの、などと騒いでいるが、そんな流行にほいほいと流されながらも、ある程度の人生を経験した女性たちは、ふと我に返ってみるとやはり小林聡美さんには敵わないと思い知る。 私も御多分に洩れずその中のひとりで、目標とか理想とかそういう言葉では言い表せられない眼差しを彼女にむけている。彼女のドラマや映画を数え切れないほど観てきた。最初の出会いは1988年に放送されていたドラマ「