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『ドライブ・マイ・カー』とは一体なんだったのか?

大層なタイトルですが、もうすでに素晴らしい論評も出ていることですし軽くしか書きませんが、オスカー国際映画賞はやっぱすごいですよね。実は朝からずる休みして行方を見守っていました。
「コーダ」が脚色賞を受賞したとき「いや、絶対ドライブマイカーのほうが…」とも思ったんですが、アカデミー賞会員にそこまで届いていないだろうなという印象も強く…(なぜなら日本のメディアでもそこまで把握していないからです)とにかく脚本が素晴らしい映画なのです。
もちろんコーダもいい映画ですよ。嗚咽でるほど泣けます。

3時間の映画、短いとは言いません。でもアベンジャーズ エンドゲームだってそれくらいあります。余裕ですよ。でしょ?
淡々と進むので睡眠はばっちりとってから見てほしいですが、つまらないと思った瞬間は一切なかったです。見終わったあと、なかなか感想がまとまりませんでした。あのときのあのシーンは、ここにどうつながるのか。反芻する必要があったのです。
そういう映画体験こそが、この映画の素晴らしいところです。
まずドライブマイカーがどういったジャンルにわけられる映画なのかを考える必要がありました。
摩訶不思議のトンチキSFなら好物なので「わからん!けど楽しいな!」で片づけられるんですがドライブマイカーはあくまで現実の話。
洋画的つくりではありません。確実に邦画的印象を持つ映画です。
しかし邦画を好んで見ますが、こんな映画は今まであっただろうかと、自分の記憶に無いジャンルになっていたのです。

それはきっとアカデミー賞会員たち、いや、ここ異例な数のまで多数の映画賞を受賞してきたのを見ると全世界の映画ファンたちにとって衝撃だったのではないでしょうか。(アカデミー賞は特有の選考基準もあるので…)
コーダの例をあげますが、あの映画はどこかで見たことのある映画を磨ききって煮詰めたような映画です。
良い意味で受け入れやすく洗練されている古典劇とも言えるかもしれません。悪い意味では展開が読めてしまう部分や、広がりがない部分でしょうか。
※年間ベストに入れたい好きな映画です

ドライブ・マイ・カーは革新的です。
だからこそ評価された部分はあると思います。人間の性を通し言葉を排除し、世界中の人類の普遍的な印象に訴えかけた部分もポイントでしょう。

最初に書いたようにこの映画を本質的に語ろうと思うと村上春樹の複数の原作とワーニャ伯父さんという作品に触れなければなりません。が、私はそこにたどり着けていません。
真にこの映画を理解するには勉強不足な点も否めませんが、それでもやっぱりこの映画は面白いのです。知への欲求が本能だとしたら、本能でこの映画を楽しんでいるのです。
もしアカデミー賞会員がみな原作やそこからの脚色を把握しており、評価を真っ当に下したというのなら私は今書いたことを謝らなければなりません。
そうであるなら、ワーニャ伯父さんという作品がロシア作家だからご時世的に仕方がなかったともとれるでしょう。
もっとも日本アカデミー賞の会員だってそこまで辿り着いている人は少ない気がするのですが…。

真面目にかいちゃうんですよ。真面目な真摯な映画です。
監督はクレバー。でもこの構成をずっと考えていたのだから一種の変態でもあります。
いろんな感想は見ましたよ、楽しめなかったとか眠かったとか。
眠いのは体調問題だろうと思いつつ、楽しめないという感想に関しては「なぜ楽しめなかったのか」を考えること自体が楽しいのではないですか。ある一定の評価を受けている作品を見るってそういうことだとも思います。
もしかしたら見てすぐにツイッターで感想をつぶやきたい、人の感想を見る層からすると、じれったい映画かもしれませんね。

真面目に終わるとどうも居心地が悪いのです。
私は気楽に映画を見ろよ派なのです。シリーズものに関しては1から順番に見ろよとか鬼発言もしますが…人はいろんな一面があります。
だから最後に重要なチェックポイントだけ書いておきます。
西島秀俊がとても可愛い。
これはこの映画の本質的な話です。
西島さんの可愛さで3時間はあっという間なのです。
西島さん最高です。岡田将生も最高です。霧島さんも三浦さんも最高です。
でもとにかく西島さん、そして霧島さんの成熟した裸体。
これだけは、生きているうちに見ておくべきです。

はい、終わります。

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