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中一期末テスト対策「蜘蛛の糸」

ある事がきっかけとなり、昨年の年末から、毎晩息子(中一)に勉強を教えています。いままで自分の仕事で精一杯で、父親らしい事は何一つしてきませんでしたので、それなりに真剣に取り組む事にしました。

私は学生時代に4年間進学塾の教師をやっていて、中学生と高校生に国語を教えていました。国語というのは市販の問題集を解いたり、文法を覚えれば出来るようになるものでもなく、日頃から何かについて考えて、それを言語化してゆく習慣を持つ事が何より大事だと思います。

息子に国語を教える前に、学校で使用している国語の教科書を最初から最後まで熟読しました。
どんな目的で、何を伝えたいのかが明確に書かれていて、志しが高く、とても良い教科書だと思いましたが、特に素晴らしいと思ったのは芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の作品解説です。

以下作品解説より抜粋

この小説にはいくつかの教訓が示されているように見える。例えば、善い行いには善い結果、悪い行いには悪い報いが待っいるということ、あるいは自分一人の利益だけを考えてはならないこと、などなど・・・。だが、よくよく考えてみると、同時にいくつかの疑問点も浮かび上がってくるのではないだろうか。
(中略)
そもそも、蜘蛛の糸に何人もぶら下がれるわけではないし、何万里もの距離を一人で上がり切れるわけでもないだろう。これらはいずれも、人間のある側面を強調するために編み出されたつくりごとの世界である。小説は単なる教訓としてあるのではない。実は一人一人の中にあって日頃気付かずにいる、もう一人の自分に出会うために作られた、巧妙な言葉の装置なのである。

小説を題材とした問題はどれも「正解を答えさせる問題」で、「正解などないのだ」という答えはありません。蜘蛛の糸をどう読むかを教える事は、小説とは何かを教える事であり、国語教員の能力が問われるところです。教える事は二度学ぶ事。しばらく真剣に悩みたいと思います。




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