こども用Suica

緑周のりちかは、栞奈かんなの了承のうえ、夏休みやGWに、よく那生なつきを連れて岐阜の実家に帰省することがあった。

コロナ禍のころは、E席を取れば、D席も空いていたから、本当はひざのうえじゃないといけないんだけど、未就学児だからいいか、と大人の席だけ取って、実際は悠々と新幹線の時間を過ごしていた。

今年のGWも、栞奈の育児疲れを癒やすというKPIも兼ねて、緑周と那生は岐阜の家に遊びに行くことになった。

緑周「コロナ明けたじゃん?」

栞奈「うん」

緑周「新幹線、めっちゃ混んでんのよ」

栞奈「そうなの?!」

緑周「うん… でね、なっちゃんまだ未就学児だけどさ、席取っちゃうのどうかな、と思って」

栞奈「あ〜!」

緑周「なんか、子どもSuicaってやつがあれば、スマートEXに番号付与できて、ちゃんとなっちゃんの席が確保できるんだって?」

栞奈「そっかぁ〜、もう、そんなに大っきくなったのか〜」

緑周「で、お忙しいところ恐縮なんすけど、GWまでになっちゃんのSuica買っといてもらえたら… みたいな」

栞奈「おっけー!」

数日後、太鼓教室の帰りに、みどりの窓口が目に入った栞奈。
「なっちゃん〜、今度パパと新幹線乗るときに、ピッてやるやつ買いに行く?」

凪「え! ぼくのSuica?! かうかうかうかうかうかう!」

栞奈、笑いながら「わかったわかった」

そうしてゲットした、こども用Suica。
上部の真ん中に、青で「小」と印字され、下の真ん中には「ワタライ  ナツキ  様」と、那生の名前が入っていた。

那生のSuica… と愛おしくなった栞奈、思わず写真を撮り、緑周に送った。

すると緑周から【ぐえ〜可愛い〜】と返ってきた。

栞奈【ぐえ〜だよね〜w】

緑周【こども用Suicaって、こんなに可愛かったんだね】

栞奈【ね〜、これはちっくんのおかげだな… ありがと】

離婚後も、緑周の実家と仲良しの栞奈。
最終日は自分も岐阜で泊まることになっている。

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