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思い出し笑いと失くした記憶

冬に後輩とフグを食べに行ったとき、「フグってなんか、あたったりするんですよね?」と言われたこと、夏前になっても思い出し笑いしてしまう。
何も間違ってない。ふぐってなんか、あたったりする。でも感覚的に、高確率で死ぬ毒を「あたったりする」と表現することにものすごい違和感があった。それに、あの目、あの口調、あの表情。絶対に、ふぐにあたると死ぬとは知らない人間のそれだった。ふぐ毒の認知度もまだ安心できるもんじゃないみたいだ。

そこでふと、「考えてみたら、ふぐ毒の危険性ってどこでいつ習うんだろう」と思った。

ちなみに私の場合は、自分が生まれるよりずっと前に近所の釣り好きのおじいさんが自分で釣ったふぐを食べて亡くなったということを近所のおばちゃんたちに聞いたことで学んだ。多分、保育園くらいのときの話だ。

でもそれ以外のところで学んだ記憶はあまりない。
もしかして、近所でどなたかお亡くなりにならないと学ぶ機会がない?

一身上の都合で、最新版の高校の教科書が手元にある生活をおくっている。新カリキュラム対応の家庭科の教科書を開いてみる。

ある。ばっちり書いてある。
おい後輩。おい私。

とはいえ、高校の家庭科の授業の記憶は、本当にちっともない。今だいぶ頑張っているが、そもそも先生の顔と名前も思い出せない。うちの高校の家庭科担当って誰だった?

唯一、「理想の家の間取りを考える」という課題で、ありったけの夢を詰め込んだのに10畳以上空きスペースができ、仕方ないので全部浴室にして提出したら、結構真剣に怒られたことだけ鮮明に覚えている。高校生のときはなんとも思わなかったが、あれ、私の理想の家が本当にお風呂10畳以上ある合宿所だったらまぁまぁ問題だったのではないだろうか。違うからいいが。

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