【日記】編み物エブリデイ
ここ1ヶ月、ずっと編み物をしていた。
なんと20年ぶり。何かが20年ぶりになるほどの歳月があることの方に驚く。
編み物は、母と祖母と二つ年上の幼馴染のひーちゃんに習った。私にとってうつくしい記憶がひもづいた行為だ。
それに、ただの糸がちょっと棒に引っ掛けただけで形になって、崩れ去ったりしないんだからおもしろい。
単調な細編みを繰り返していく間、編み物のことなんてほとんど考えていない。ただ怒っていたり、あれこれ考えて、ふと気がつくと手の内に何かが出来上がってる。何かが出来上がることのヒーリングパワーはすごい。
あと、毎日夜に1時間ほど編んでから寝ると、日中の頭の回転が良い気がする。結構良い気がする。
でも編み物をしてるとnoteが書けない。脳は余裕で空いてるんだけど、腕、2本しかない。
母と編み物
編み物は母に習った、というと多くの人は「お母さん喜んでるでしょ」というが、私の編み物を誰よりも嫌っているのが母である。
母は、私の手芸の、基礎がなってないところと検証が不十分なところと片付けが遅いところが嫌いだ。
数学教師の母は基礎を重んじる人で、勉強も手芸も"派手で面白そう"なところにすぐ飛びつく私の姿勢を嫌っている。基本的に応用から初めて、その中で「困ったな」と思ったら初めて基礎に戻るタイプで、自分が必要性を感じないとなんにも学べないのである。
でもだからと言って基礎を軽んじているわけではなくて、うつくしいものは大抵地味な下地の上に成り立つということをちゃんと知っている。よい手芸には基礎固めだと思う。その上でできない。もう私らしさと言い張るほかない。
そして、手芸は結構PDCAが大事。
仮説を立てる、計画する、検証する、また仮説を立てる。
これができていないと練習しても練習してもゴミができる。
編み物でいえば、糸・針など道具選びが適切だったか、編む順番は無駄がなかったか、どこを緩めるべきだったか(あるいはきつくするべきだったか)などを振り返る。
割とこれは取り組んでいるのだが、いかんせん根っこが「まぁいっか」思考なので、真面目な人からみたら大変ゆるいのだと思う。
でも子どもの時はもっとできていなかった。「なぜ失敗したかを考えてない試行には意味がない、無駄」という母の言葉に、「でも慣れってあるじゃん!」と思っていた。というか、今も思っている。
でも後輩に対して「効果測定できないなら新しいこと試すな」と言うことも増えてきた。大人になると、自分が上手くできないことを他人に求めて、他人に求めたから自分もできないといけないってそんなのばっかりだ。
ちなみに私はかぎ針の使い手だが、これは祖母の影響によるもので、母は棒針をよく使う。20年前、棒針のほうが編み物っぽくてかっこいいからそっちを教えてほしいと言ったら、「かぎ針をマスターしてからじゃないと教えない」と言われた。私は鎖編み、細編み、長編み、うね編みしかできない。だからまだ教われない。
(もうすぐ)母と編み物
これは私の周囲あるあるなのか、妊婦とはそういうものなのかわからないが、産休中に手芸を始める知人が多い。
先日も、私を友人代表スピーチに選んでくれた友人が臨月になり、急に赤ちゃんのニット帽を編むと言い出した。ちなみに彼女は全く絵心がない。私は絵心がなくて手先が器用な人に会ったことがない。
ただ、自分もぶきっちょながらなんとか編み物をやれていることから、私は「編み物は根性」論者である。それに帽子は、まぁ細切れでも1週間あれば編める。なのでとりあえず編むと決めたら編めるだろうと思って「いいね!」と言った。
そしたら、「必要なもの買って編み始めたんだけど、一目めに4時間くらいかかっちゃった」と返ってきた。
…いや、さすがに産まれるわ。
赤ちゃん産まれるわそれは。
さらに、「編み図に書いてあることが全部意味不明」とも。
私にとっても編み図は意味不明だが、その状態の友人が1人で編むのは不可能と判断して、リモート編み物教室を開催した。
編みたい帽子は二つあるそうで、送ってもらった編み図によれば、一つは模様編みで目の増減なく編み進めて、最後に頭のてっぺんで絞るタイプ、一つは頭のてっぺんから目を増やしながら全部長編みしていくタイプ。
手芸屋さんに初心者向けの編み図を出してもらったと言っていたし、確かにシンプルである。先に鎖編みだけ完成させてもらって、こりゃあ1時間もあればコツ掴むだろ、と思ってビデオ通話を開始した。
「やっほー、準備できてる?」
『できてるよ!』
「じゃあ今日見やすいように10号針で編んでくね。ちなみに何号なの?」
『うーん、2って書いてある』
「おっkんんんん2⁈」
『うん、ほらこれ』
画面に映る細い針先と、まー丁寧に編まれた綺麗な鎖編み。ぎっちぎち。
ご存知の方も多いと思うが、かぎ針は数字が少ないほど細い。2号なんて、編み物にぼんやりしたイメージしかない人が見たら「思ってたんと違う」と言うこと請け合いの細さである。
針が細いということは、当たり前だができる目が小さいということだ。
「な、なんで?初めてって言わなかったの⁈」
『言ったよ言ったよ!この編み図ならこの針って言って出てきたのがこれなの!』
慌てて編み図をみたら、確かに2号と書いてある。しかも、よく考えたら確か最初「鎖編み210目作らないといけない」と言っていた。くそ、そこでおかしいと気付けたはずなのに!
これは個人の考えだが、初心者の人は8号くらいがいいと思う。というか、8号ぐらいだろうと思い込んでいた。というか、多分彼女には6号くらいが限界だ。
編み図がどれだけ単純でも初心者に2号針を使うレシピを渡すなんて手芸屋さん考えが甘いんじゃないの⁈と思った。え、これよくあることですか手芸屋さん。
しかも編み目がギチギチ。そう、初心者さんに"次の工程を考えて編む"なんてない。
結局1時間説明してできたのは、長編みの最初の鎖編み3目だけであった。年が明けたら模様編みを一目編むために隣の県まで旅行する予定だ。