出来損ないの末裔

私はいま仕事でメキシコに住んでいるんですが、メキシコ人からこんな話をされたことがあります。

自分たちはスペインからやってきた出来損ない達の子孫である。だからメキシコ 人がだらしないのもこの国が一向に良くならないのも仕方がない、全て出来損ないの遺伝子が受け継がれているため。不正・怠惰はなくならない。

なんで出来損ないのスペイン人だけメキシコ、その他中南米に送られたのか?という質問には、「未開の地を見つけに海へ送られるようなやつはスペインにいても使い道がなく、出来損ないだったに決まっている。優秀だったらスペイン人も死なせに行かせるような航海はさせないだろう。」とのこと。

んー。どんな根拠でそんなこと言ってんだ、と思いました。メキシコ人でもめちゃめちゃ優秀な人もいるしその人たちのことはどう思ってんだろうなと思いながら、正直そんなことないぞ。めげるな。みたいな感じでその場は終わらせました。

その後もこの話が頭について離れず、今はやっぱり彼らのいろんなことに関する”諦め”がそう思わせているのかなと思っています。

よくメキシコ人と会話すると日本人のお行儀のよさと自分たちラテンの人た日のいい加減さを比較して自嘲する話をされます。

こないだ乗ったタクシーの運転手さんも自分たち(メキシコ人)は時間守れないし、ゴミもそこら中に捨てるし、ルールも守らないしめちゃめちゃだよねー、その点日本人はすごいよねー、はー、日本一度は行ってみたいよー。なんて言いながら横断歩道を渡っているおばちゃんを轢きかけた挙句、でかいクラクションを鳴らして何事もなかったかのように過ぎ去っていきました。この人たち、怖い。本当に出来損ないか…。

でもやっぱりそんなことはない。日本人だってマナー守れない人はたくさんいるし、メキシコ人でもものすごく律儀で尊敬できる人たちを知っています。

出来損ないの末裔たちは、いま自分たちを”良くする”ことを諦めている人なんだろうと思います。

どこの世界にもたくさんの出来損ないの末裔たちがいます。その人が歴史や遺伝子を理由に自分たちを諦めてほしくないなと。自分もそうならないように身を正そうと。

出来損ないの末裔がいなくなる世界を願って。