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第7回:メモをノートにまとめ直す効能

皆さんこんにちは、北真也(@beck1240)です。

前回はノートの分類分けを以下の3つで行い、それぞれにどういった機能が求められるかについて色々考えている事を書いてみました。

  • プロジェクトに必要な情報の集積場所

  • アウトプットに紐付くネタやアイデア

  • 特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース

今回はメモとノートの橋渡しの一つである、メモをノートにまとめ直す効能について少し考えをまとめてみたいと思います。

メモをノートにまとめなおす効能

先日、一緒に仕事をしている某外資系コンサルタントの優秀な若者と議論を交わしました。「新しくプロジェクトに入ったエンジニアが迅速にキャッチアップするためには何をすべきか?」という話です。

システム開発の現場において、「議事メモ作成」と「課題表の管理」は一種の基本動作です。議事メモ作成なんて面倒くさいと思われがちですが、①議論した内容からポイントや課題を抽出し、②課題を一覧として管理することでプロジェクトの動きや課題を構造的に理解することが可能となります。

加えて、シニアのエンジニア/プロジェクトマネージャであっても、打ち合わせを漫然と聞いているだけでは「分かったつもり」に陥る可能性があるため、全体に共有するかはさておき、自分の手元でメモを残している人は少なくありません。(メモも取らずに分かったつもりになっているオッサン程痛い物はないですよね・・)

話を戻して、その外資系コンサルタントも、新しく入ったメンバーは例えシニアメンバーであっても、議事メモ作成や課題表管理といった所からはじめ、元いたメンバーのナレッジトランスファーを兼ねたレビューを受けて、徐々にカバーする領域を増やしていくとの事でした。

僕は純日本系IT企業出身ではありますが、やはり新しく入ったメンバーには議事メモ作成から入ってもらい、最終的にはPJ全体にパブリッシュするところ迄やって貰います。当然、パブリッシュ前にレビューはしますが、必ず以下のステップを踏んでいます。

  1. 会議中のメモは乱雑で良いので「議題に対する議論内容or決定事項」「アクションアイテム」を記録することに集中

  2. 正式なMoMとしてパブリッシュできる様にまとめ直して貰う

  3. レビューで過不足や認識違いを埋める

  4. 議事メモをブラッシュアップ後全体に展開する(全体にパブリッシュする役割にない場合もメモをとってまとめ直すことを推奨)

この4つのステップは割と万能で、メモを取る→まとめ直す(出来ればレビューを受ける)ことは、色々な場面で「理解する」ことの助けになります。

メモがない場合であったとしても、自分の考えや理解を書き出してみて、決定事項や課題事項といった決まった軸で整理し直してみるだけでも「ただ見聞きして分かった気になってる」よりも断然頭が整理されますので是非お試し下さい。

メモを取るだけで理解することは難しいが、メモが無ければノートにまとめ直すことも難しい

さて、メモ→ノートにまとめ直す事例として議事メモを挙げましたが、実際の所これが講義メモでも、読書メモでも全く同じ事が言えてしまいます。

というか、会議の内容や講義の内容を必死でメモってそこで終わるのは、一番おいしい部分を完全に見逃す勿体ないやり方です。

メモを取る・・或いは外からきた情報を情報を書き留めるという行為は、情報を聞き漏らすまいと知覚と記録に集中をすることになります。

TAKE NOTEに次のような記述があります。

ある興味深い実験では、ふたりの心理学者が、抗議に参加する学生がノートを手書きで取った場合と、ノートパソコンに入力した場合とで違いが生まれるかどうかを調査しました。(中略)講義内容の理解という点では、手書きの学生がはるかに優れていました。(中略)これは秘密でもなんでもなく、説明は極めて簡単です。手書きは遅く、電子形式と比べて訂正に時間がかかります。学生は講義の内容を全て書き留められるほど速く書けないので、細部では無く趣旨に集中するしかなくなります。

(Take Notes! P158)

この例は、情報を記録することに終始した場合と、入力速度からやむを得ず聞きながら要旨を捉えようとした場合の理解の差についてですが、会議や講義で話している内容を記録することに終始する場合、理解は二の次になってしまうことを実体験としてお持ちの方も少なくないと思います。

会議や講義の要旨をつかみ、必要な情報を抽出し(例:課題を抽出し)、管理しやすい形に情報をまとめる(例:課題管理表にまとめる)ことではじめて情報の再利用性は高まります。

そして、この情報の抽出と整理を行うためには、内容を理解している、或いは情報をキャプチャする段階で理解するために注意を払う必要があるのです。

逆から見れば、この「情報の要旨をつかみ、情報の抽出と整理を試みる」事が、理解を試し、不明点を浮き彫りにし、そこへの手当(レビュー)を可能とする実に効率的なメソッドとなります。

理解がまだ追いついていないプロジェクトである場合、効率的に要旨を押さえたメモを取ることは難しいです。その状態では、とりあえず記録する→そこから要旨を抜き出す、という2段階でのアプローチになります。やがて理解が進めば、一足飛びに要旨を押さえたメモが取れる様になり効率よく情報のハンドリングが行える様になります。

繰り返しですが、自分が新しいことに取り組んでいる、学んでいるときには、一足飛びに要旨を捉えに行こうとせず

  1. 何はともあれ記録を取る

  2. 記録からゆっくりと要旨を抽出し、整理していく

というプロセスを繰り返し、理解を深め、リアルタイムに要旨が掴めるようになりましょう。

最後に

倉下さんとの共同連載ながら、体調不良やら年末進行やら色々あって、倉下さんと6回分も差が付いてしまいました。まぁ、何はともあれ焦らずじっくりと書き進めていきたいと思います。

今回はメモ→ノートにまとめ直す効能について理解の観点から述べましたが、次回は他のメモ→ノートへの展開の別の観点である、アイデアのキャプチャと発展を中心に書きたいと思います。

ということで、2021年の更新はこれが最後、次は2022年にお会いしましょう!

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