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第9回:キャプチャしたアイデアを発展させアウトプットにつなぐために何をすべきか

前回の記事では「アイデアを生み出しキャプチャする」について意可能様な事柄について述べました。

  • アイデアを生み出すためには知識が必要だが、アイデアをモノにするためのテクニックは工夫次第でどうにかなる

  • アイデアを生み出し形にしていく「プロセス」を構築し、その時々のアイデアを形にしていく

その他、アイデアキャプチャに求められるツールの要件なんかもさらっと触れていますので、まだ読んでいない方は是非読んで頂ければ幸いです。

今回の記事ではキャプチャしたアイデアを如何に発展させ、アウトプットに繋いで行くかについて触れたいと思います。

着想段階のアイデアから一足飛びにアウトプットに行かずにアイデアを育てるメリット

こんな記事を書いていて大変お恥ずかしい話なのですが、僕自身もこのアイデアを育てるというプロセスに対して七転八倒をしている状況です。

具体例は次の記事を読んで頂ければと思いますが・・

要するに、アイデアを一足飛びにアウトプットに持って行こうとしてしまう癖があります。

まぁ、ブログ記事程度ならそれでなんとかなってしまうのですが、やっぱりアウトプットにムラが生まれるというか、アウトプットである執筆の負荷が高くなるので取り組む心理的障壁が高くなります。また、全体の見通しがないまま書き進めることによって、後から手戻りが多くなり効率が悪いと感じることも多いです。

先のブログ記事にも書いたのですが、YoutubeやPodcastのアウトプットが何故スムーズに流れるかというと、以下の様に、収録や編集というアウトプットの前に「プロット」というアイデアがある程度形になっている半製品があるからです。

  • ネタをストック

  • 収録前にネタをブレイクダウンしてプロット作成

  • 収録→編集→公開

映像や音声というのは、構成を後から変えようとすると撮り直しが必要など、文字と比べて手戻りにかかるコストが圧倒的に高いので、走り書きのアイデアだけで収録にいかず、ある程度の骨子を組み立ててから収録というアウトプットに向かいます。

こんなかんじでプロット書いてます

仕事のプレゼン資料でも、まずは1、2行だけ内容の説明が書かれたほぼ白紙のスライドや過去作ったスライドなんかで全体の構成を考えてから、1枚1枚のスライドを作成、最後に実際にプレゼンの練習をしながらスライドに微修正を加えます。

よっぽど重要度が低い/突発的で無い限り、全体の構成を考える工程をすっ飛ばしていきなりスライドは作りませんし、適当に資料を見ながら話すことをその場で考えるなんて事もありません。ちゃんとしたアウトプットを、手戻りを押さえた形で作ろう(最小の労力で作ろう)とすると、一足飛びにアウトプットに向かうことなどまずあり得ません。

アウトプットのための骨子や構成を練る行為を「アイデアを育てる」とみるか「アウトプットの第一歩」とみるかは議論の分かれることろですが言いたかったことは「着想段階のアイデア」から一足飛びに「アウトプット」にいくと大変な目に遭うってことなので細かい話は目をつぶって下さい。

ということで、着想段階のアイデアからアウトプットにいきなり行かずにアイデアを育てておくことのメリットをざっくりまとめると以下の通りです

  • アイデアを育てておくとアウトプットに取りかかる心理的障壁が下がる

  • 全体の見通しをある程度立ててからアウトプットに取りかかる方が手戻りが減って結果的に労力が少なくて済む

未来に向けて材料をあらかじめ揃えておく

それからもう一点、ひとつのアウトプットにするには小粒なアイデア、イケてるフレーズ、あたらしい概念、新技術/方式、業務プロセスの改善など、現段階では特定のアウトプットに紐付かない様なアイデアというのもあるかと思います。

こういったアイデアは行動やアウトプットの材料になったりするのですが、具体化・具現化されていないアイデアを組み合わせて何かを生み出したり、行動を起こしたりするのは難しいです

まぁ、殴り書きのアイデア同士を並べてみて何かを思い付くこともゼロではないけれど、僕の場合は思いついた事柄に色々書き加えたりしている内に「あ、あのアイデアと組み合わせたら面白いんじゃないかな」と新たな着想に結びつくことの方が圧倒的に多いです。

アウトプットベースのアイデアが、Goalに対してブレイクダウンしていくアプローチだとすると、いくつかのアイデアを組み合わせて行動やアウトプットに活かしていく行為はボトムアップのアプローチと言えそうです。

ここではTak.さんの定義を借りて「断片」と呼ぶことにしましょう。この断片なるモノから始まる場合というのは、得てして断片に大変な魅力があることが多いです。

例えば、革新的な機能を思いついたとして、それをシステムに実装しようとすると、今の機能配置がこうだからとか、ベースのオープンソースプロダクトがこれだからとか、その革新的なアイデアを中心に肉付けを行う必要があります。その過程で、そのアイデアが実現不可能とわかり断念することもあるでしょう。

また、アイデアを具体化していく(ブレイクダウンする)だけでなく、同列にいくつかアイデアを並べて○○システムという上位概念で括った上で提案する必要があるかもしれません。既存システムであれば、必要な要件を書き出しバックログに入れる必要があるでしょう。

いずれにしても、断片からはじめる場合というのは、具体化と抽象化、或いはアイデアを実現するための周辺部の肉付けといった作業を行ってはじめてめて「出せるアイデア」となるのです。

この断片に対する肉付けの一つの考え方として「Atomicなノート」があります。以下の記事が分かりよいので是非読んでみてください。

この、読んだ内容を「自分の言葉で書く」というのは、エバーグリーンノートの提唱者Andy Matuschakさんも勧めている方法1です。
まとめるときに重要なのは、本の内容に関しても「1ノート1要素」(アトミック)になるように内容を分解して、時間をかけてそのノートを育てていくつもりで「自分の言葉で」書くこと。
これ、やること自体はシンプルなんですが、実際にやってみるとすごく大変です。

https://goryugo.com/20210426/evergreennote-for-books/

1つのアイデアに対して、1つのノートを作り、そこに自分の理解(或いは考え)を自分の言葉で書いていく。Atomicの意味合いとしてはこれ以上分割できない最小単位というものですが、同時にノート単体でアイデアに関することが分かるように完結している必要があります

断片となるアイデアを「Atomicなノート」にまとめておくメリットとしては以下の通りです。

  • 材料となるアイデアが文章化/図化されていると、後でそのアイデアを利用するときの労力がかなり軽減される

  • 断片に肉付けを行っている時(Atomicノートを作っている時)に他のアイデアと組み合わせる着想が湧くことがある

アイデアを育てるために利用しているツール

さて、ここまで大きくは①「アウトプットベースのアイデア」をトップダウン的に育てるアプローチ②「断片的なアイデア」をボトプアップ的に育てるアプローチについて述べました。この二つのアプローチに際してどういったツールが良いかについて考えてみましょう。

アイデアの具体化と抽象化を行ったり来たりするツールとしては、圧倒的に「アウトライナー」が使いやすいです。マインドマップでも基本的に同じようなことができるのですが、文章や資料の構成を練る用途ではアウトライナーの方が直感的なインターフェースであると思います。

私は全てのアウトプットネタをWorkflowyというアウトライナーで管理しており、基本的にはアウトプットしたい事柄に対して見出しや概要レベルまで書き下した後アウトプットに向かいます。

Workflowyを用いている理由は「Mirror」という機能があるからです。このMirror機能でやっていることをざっとまとめると次の図のようになります。

Mirrorでやってることややこしいので図示しました

Mirror機能を使うことで「ブログネタ」を管理するノードでは沢山有るアウトプットネタを「ジャンル」や「連載」といったくくりで管理しつつ、「今考えている事」という思考のまな板上とも呼べるノードに具体化したいアイデアをピックアップして考えを深めることができます。勿論、片方で更新した内容はもう片方にもLiveで反映されます。

更に今日やること、考えることを書き出すノードである「Daily note」のテンプレートにも「今考えている事」のMirrorを埋め込んでおくことで、日々のデイリーノート上からも「今考える事」上のアイテムに容易にアクセス出来るようにしています。

断片も基本的にはWorkflowy上で管理をしていますが、Atomicなノートを作りアイデアや知識のネットワークを作るという用途においてはObsidianやScrapboxといったネットワーク型のエディタが適しています

obsidianの画面

私もまだアイデアや知識をAtomicなノートとしてObsidianに少しずつ蓄積しはじめたところなのですが、この辺の具体的なやり方やについてはまた次の回で紹介したいと思います。

最後に

今回はキャプチャしたアイデアを育てるアプローチとして

  1. 「アウトプットベースのアイデア」をトップダウン的に育てるアプロ

  2. 「断片的なアイデア」をボトプアップ的に育てるアプローチ

について述べつつ、それぞれのアプローチでアイデアを育てるメリットについて述べました。また、簡単にですが、アイデアを育てるために使っているツールについても触れています。

次回、もう少し具体的にWorkflowyとObsidianでどういった形でアイデアを育てているか、また補助的に試用しているA3スケッチブック等の活用法についても触れていきたいと思います。

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