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第6回:ノートの分類とそれぞれに求められる機能について

こんにちは、北真也(@beck1240)です。
前回からかなり間が空いてしまい申し訳ありませんでした。(理由は最後にで書いておきます。)

前回はメモを「アイデアや外からくる情報を速やかにキャプチャする記録方法」と定義し、メモツールに求められる機能について述べました。前記事の目的はノートという何者をも包含しうる広大な概念から、メモという領域を切り離す試みでもありました。今回は「メモ以外のノート」について取り上げていきます。

前記事ではノートの定義を「特定のテーマ毎に整理された繰り返し使用する情報の記録方法」と置きました。ノートの要件は以下の通りです。

  • 速効性よりも、残すべき情報が正しく残せること

  • ある程度時間がたって見返したときに正しく情報が把握できること

  • いつ/誰が/何を言った等の正確性が求められる場合もある

  • 特定のジャンルで情報が整理され整理され再利用される

  • 再利用されるが、プロジェクトの終わりなどの賞味期限もある

実を言えば、「メモ」以降の「ノート」というのはかなり幅が広く、求められる機能もノートの種類によって変わってきます。

本記事ではまず「ノートの種類」について分類分けを試み、それぞれにどういった機能が求められるかについて掘り下げてみようと思います。

ノートの種類を分けてみる

皆さんはノートと聞くとどんなものを思い浮かべるでしょうか?

例えば、学校の授業では科目毎にノートを分けていたのではないかと思います。国語ノートと英語ノートは罫線の形状が異なっていたかも知れませんし、音楽の授業では楽譜を書くために五線譜ノートを使うことでしょう。

社会人になってからは、日々の業務の中で書き留めておくべき事、例えば上司からの作業指示の詳細や先輩に教えて貰ったことを書き留めておいたり、打ち合わせのメモを取ったり、仕事のアイデアを蓄積したり、それを膨らませるのに考えたり、日々の振り返りを行ったり。色々なノートの活用法が考えられます。

おそらくは人の数だけノートの分類が存在するからだと思いますが、今まで僕は「○○ノート」の分類でMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive、抜けなくもれなくダブり無く的なアレ)なものを見たことがありません。そこで、一旦自分のノートの使い方をリストアップしてそこから分類を試みたいと思います。

アイデア帳/ネタ帳/考え事リスト- Workflowy
Daily Note(今日の予定、やること、メモを日別にまとめる)- Workflowy
プロジェクトのメモ/ノート/参考資料 - Evernote 
PKM(歴史、モバイル、ライフハック、その他興味)- Obsidian
読書メモ - Evernote
考え事をするノート - A3スケッチ、iPadのGood Notes5

他にもある気がしますが、これで8割ぐらいは網羅できている気がするのでいったんはこれで良しとしましょう。しかし、こうやってリストで書き出してみても、今ひとつ「分類軸」が見えて来ないので、一旦図に起こしてみましょう。

メモ以降のノートの役割

自分でもとっちらかっているのは重々承知ですが、今の使い方使い分けが功であるから仕方ありません。多分、読書ノートは運用する内にまた変わる可能性があります。

ノートの分類軸に関する考察

さて、それではノートの分類軸についてですが、流れを整理してみると、メモをとった後にまとめ直すノートとして以下の3点があることが分かりました。

  • プロジェクトに必要な情報の集積場所

  • アウトプットに紐付くネタやアイデア

  • 特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース

また、メモやノートを1日のカットでまとめておく「Daily Note」や、アウトプットの際に考え事を行う「A3ノート」などもあるのですが、こえれらは「特定のテーマ毎に整理された繰り返し使用する情報の記録方法」というノートの要件から少し外れるので、ノートのサブシステムとしてまた別途取り上げたいと思います。

それではこれら3つのノートの分類軸について少し掘り下げてみましょう。(各分類とツールの使い方については今後一つずつ記事にしていきますので、今回はさわりだけ。)

プロジェクトに必要な情報の集積場所

本分類の最も重要なポイントはプロジェクト毎に情報のスタックを分けることで情報へのアクセス性を向上させることです。

日々の仕事をこなす中で、必要な情報に必要な時にアクセス出来るというのは非常に重要なことです。よく使う情報やシステムのリンク集であったり、作成資料のインプットとなる打ち合わせの議事メモや参考資料などがまとまったノートがあるかないかで生産性は大きく異なります。

私が求める理想のプロジェクト情報管理ツールの機能要件は以下の通りです。

  • プロジェクトに関係の無い不要な情報が混ざらないように分類できる

  • プロジェクトの中でも、他者に依頼された内容の覚え書き、自分の作業メモ、議事録などをまとめて眺めたり、特定の物だけを参照できる

  • 同じ議事メモであっても分類分け(例:定例MTG名、機能名、マイナーバージョンなど)ができる

  • ノートツール内或いはタスク管理ツールなどから関連する情報へのリンクが張れる

これを読んでピンときた方は恐らくEvernoteを使っている/使ったことがある方ではないかと思います。Evernoteであれば、これを以下の様に解決することができます。

  • プロジェクト毎にノートブックスタックを分ける

  • メモ/ノート/参考資料などをノートブックで分ける

  • メモやノートの詳細な分類はタグで行う

  • ノートリンクを使ってEvernote内/外部ツールからJumpできるようにする

Evernote以外のツールであったとしてもプロジェクト毎にフォルダやカテゴリで分類でき、タグが使え、当該情報へのリンクが張れるツールであれば似たようなことができると思います。

ちなみにですが、ここでいうプロジェクトというのは、とりいそぎ「複数のタスクで構成される終わりのある作業群」とでも捉えて頂ければと思います。

あまりプロジェクトを細分化しすぎても管理が煩雑になるので、「A社システム開発プロジェクト」とか「書籍「○○」執筆プロジェクト」など、リリースや成果物の単位でプロジェクトを定義するのが良いと思います。

ただ、全てのタスクがそれ程大きな塊にならないこともあると思います、そういった場合は「ペルソナ」で括ると良いかも知れません。私の場合、会社の雑務や特定のプロジェクトに紐付かない仕事を「Business」という単位で区切り、個人的な活動に関することであれば「Personal」といったスタックを定義しています。

アウトプットに紐付くネタやアイデア

本分類における最も重要なポイントはアイデア全体を見渡せる俯瞰的な視点と、一つ一つのアイデアを詳細に眺める視点の両方が提供できることです。

特にアウトプットのネタやアイデアの場合、最終的なアウトプットの構造というものが非常に例えば本で言えばどういった章立てにするか、章の中にどういった節があるか、が俯瞰でき、且つ一つ一つの項目をブレイクダウンしたり、項目を他の章に移動させたりといったことができることが非常に重要です。

私が求める理想のネタ帳/アイデア帳に求められる機能はざっと以下の通りです。

  • アイデア全体を俯瞰できる

  • アイデアの詳細をブレイクダウンしていける

  • 複数のアイデアを構造化して扱える

  • 情報を項目間で移動できる

  • どの階層のアイデア/情報へもリンクで飛べる

はい、皆様すでにお気づきだと思いますが、そのまんまアウトライナーのことですね。俯瞰と詳細を行ったり来たりしつつ、アイデアをブレイクダウンし、時に他の項目へ情報を移動させる。そういった芸当が簡単にできるのがアウトライナーの良いところです。

アウトライナーでアイデア一覧

例えば、Evernoteで同じようなことをやろうとすると、1ノートに1アイデアをいれて、Evernoteでノートを一覧表示したとしても、アウトライナーに比べると一覧性に劣り、順序の入れ替えや項目の入れ替えなどの自由度も劣ります。

Evernoteでアイデア

「プロジェクトに必要な情報」は仕事や作業を進めるに当たって必要な情報を集める場所であり、何らかの終わりが決まっいたのに対して、「アウトプットに紐付くネタとアイデア」はアイデアをキャプチャした直後には明確な終わりが決まっていません。

とてもざっくり言えば、アイデアがアウトプットに至るまでには以下のプロセスを踏みます。

  • アイデアをキャプチャ

  • 構造化したりブレイクダウンしながらアウトプットできるところまでアイデアを育てる

  • 育ったアイデアをアウトプットする

アウトプットするものが明確に決まっているのであれば、一連のプロセスをプロジェクトとして「プロジェクトに必要な情報」のノートの中で管理し、その中の参照情報として「アウトプットに紐付くネタとアイデア」側のアウトラインを参照することになるでしょう。(具体例で言えば、Evernoteの中で書籍の執筆に必要な参考資料、打ち合わせメモなどと同じ並びでアウトラインが参照されることになる)

特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース

さらっといつもPKMと書いていましたが、Personal Knowledge Managementという言葉がそれ程市民権を得ている訳では無いことは重々承知しています。

ノートの分類を考えた際に、この「特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース」は「プロジェクトに必要な情報」と「アウトプットに紐付くネタとアイデア」から切り離すべきであると強く感じていました。

というのも「プロジェクトに必要な情報」と「アウトプットに紐付くネタとアイデア」は、仕事を完遂することやアウトプットを出すというある程度明確なゴールがあるのに対して、「特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース」ではその名の通り、必ずしもアウトプットに紐付くわけではないという特性があるからです。

本分類における最も重要なポイントは知識をノート上にダンプし、知識のネットワークを作り、自分の記憶と理解を助ける点にあります。「プロジェクトに必要な情報」が後から思い出す=忘れても良いように記録するのに対して、「特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース」は記憶の強化或いは物事を理解することを目指している点で大きく異なります。

頭の中だけで考えるといともたやすく堂々巡りになるのに対し、書きながらであればより広範な情報に対してより深い洞察を得ることが可能となります。

この種類のノートに求められる機能としては、情報を事細かに分類できることや外部からリンクがはれることはさほど重要ではありません。Mustの機能としては「リンクが容易に張れること」、そしてことさら重要なのが「バックリンクが自動で張られること」と言えます。

私が使っているツールはObsidianですが、似たようなことはScrapboxやRoam Research、或いはWorkflowyでも可能です。個人的にはですが、ObsidianかScrapboxが良いのではないかと感じています。Evernoteは参照元のノートから参照先を選べない、バックリンクが貼られない等の理由で、この用途には全く向きません。

ただ、このノートに関して言えば、重要な事はノートツールの機能よりも、このノートに何の情報を、どのように取り込み、どのように発展させていくかというオペレーション面であろうと考えています。取り急ぎPKMの教科書的な存在として挙げられるEvergreen NoteやZettelkastenの基本としては以下かなと。

  • 自分が理解している事柄を自分の言葉で書く

  • 一つのノート一テーマで完結に書く

  • ノート間のリンクを貼る

現時点で最も詳しいのはごりゅごさんの記事なので、私が今後書くPKMの解説を待たずともこちらを読んで頂くのが良いと思います。

また、Zettelkastenについて詳しく解説されているのがTAKE NOTESという本なので、興味がある方は是非こちらも読んでみてください。

ベック式のPKMについては、今後別の記事で詳しく解説していきますので、今日の所は「プロジェクトに必要な情報」と「アウトプットに紐付くネタとアイデア」といったアウトプットオリエンテッドな情報管理と、自分の知識や理解を助けることを主眼に置いた「特定のアウトプットに紐付かないナレッジベース」という情報管理は分けて考えた方がよいという私の考えのみを述べるに止めておきたいと思います。

最後に

11月に体調を少々崩してしまい、前回の更新から約1ヶ月間が空いてしまいました。体調自体は2週間ほどである程度回復していたのですが、中々仕事の後にアウトプットが出来るところまで体力が回復せずでした。(夜、仕事が終わると頭が全く回らなくなっていました)

今後も毎週更新とはいかない事もあるかもしれませんが、自分の体調と相談しながらマイペースで更新していきたいと思います。

ちなみにですが、そんな体調の中39度目の誕生日を迎えておりました。来年こそは万全の体調で誕生日を迎えたいものです・・😅

これから、各ノートの詳細やツールの使い方に入っていこうかと思うのですが、その前に一度「メモをまとめ直す効果」ことについての記事を挟みたいと思います。乞うご期待!

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