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ひとりの楽しさを教えてくれたのはケンタロウ。

お昼ご飯にフライパンから直にナポリタンスパゲッティを食べ終え、これが鉄板ナポリタンというのか?と考えていたら、突然、その昔、なにかの雑誌でケンタロウが「夜が大好き、夜が明けるのが惜しい、朝日が昇り始めると、待ってくれよ~と思う」と、一人で過ごす夜の楽しみのことを書いていたのを思い出し、どーーーしても読みたくなった。

本棚を片っ端からしらみつぶしに探す覚悟でいたが、あっさり見つかった。

1999年に出版された「リビングデザイン」という雑誌で、ケンタロウは連載を持っていたみたいだ。

「大人になってよかった。」

「夜が好きだ。夜、というよりも夜中が好きだ。夜中にひとりすることといえば、当然、読書、音楽鑑賞、映画鑑賞である。ひどくまっとうだ。夜中の読書は最高だ。風呂に浸かりながら文庫本を読むのもいいし、リビングで夜食のピーナツバターサンドを食べながらヘヴィなドキュメントを読むのも好きだ。本に限らず雑誌や新聞でもいい。夜中の音楽も当然最高だ。日曜日にタワーレコードで大量に買って、未開封のままのCDを聴くのもたまらないし、普段あまり聴かないCDを20枚くらい積んで無差別に聴いていく、というのも夜中ならではの楽しさだ。本、音楽、映画以外にも、夜中にはうれしい時間がある。冷蔵庫を買ったときは添い寝したいくらいうれしくって、やっぱり買ったばかりだったコーヒーメーカーでコーヒーをいれて夜中じゅう眺めていた。」

この文章を読んだとき、ケンタロウが心底羨ましかった。小さな時から一貫して夜更かしが苦手な私は9時に寝て朝は4時ごろに起きるという生活しかしたことがない。(数年間の夜勤経験だけが唯一の例外)

一人暮らしもほとんどしたことがなく、いつも家族が同じ屋根の下にいる私にはケンタロウの夜更かし、とびきり楽しむ夜更かし、しかも「ひとり」というのが羨ましくって羨ましくってたまらなかった。

今も変わらない。ケンタロウが過ごしたとびきり楽しい時間はケンタロウだけのもので、他の誰にも壊しようがない。運命にだって無理だ。私は未だに夜更かしをしたことがない。

私はケンタロウが羨ましくって大好きだ。

久しぶりにケンタロウの文章を読み返したら、食べることだけじゃなく聴くことも無性にやってみたくなった。CDとか、タワーレコードとか、20代の人が聞いたらクラシックな響きのするものが、私にもやはり新鮮に感じられる。すごい久しぶりに棚のすみっこからローリングストーンズの初期のアルバムを出してきてCDデッキで順々に、夜中じゃないのが悔しいけど、片っ端から聴きだした。

初めての一人暮らしで、バカみたいだけど、布団やベッドに先がけてCDデッキを無印で買って、タワーレコードでマドンナとローリングストーンズのアルバムを買った。

SNSも、スマホも、インターネットも(ほとんど)ない時代のひとりの楽しさをおしえてくれたのはケンタロウです。


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