見出し画像

入眠前のおまじない

半年前から、生まれたときからずっと同じベッドで寝ていた娘が自室を持ち、そこでひとりで寝ると言い出した。

長男が生まれたとき以来、ずっと誰かと添い寝してきて14年、久しぶりに一人で自由に使えるわたしのベッド。寝る前にベッドに潜りこんで好きな本を読むこともできるし、一緒に寝てる子どもに蹴られて目が覚めることもない。なんてパラダイス!な、反面、あの絶妙な温もりがない寂しさもあったのだけど。

それはさておき、娘は案外寂しがることなくひとりでの睡眠を満喫し始めた。

ここ2か月ほど、怖い夢をみた夜のこともあり寝つくまでベッドの側にいておいてほしい、というようになった。
寝つきがいい娘のそばにいるのは、ほんの5分か10分ほど。手が空いているときは横にいるようにしている。

そこで気づいたこと。
娘はベッドに入ると必ず、
「あぁー、今日はとってもいい日だった。」と言う。
それはそれは幸せそうな顔をして、いい一日だった今日に想いを馳せるのだ。

たとえその日が特別でなくとも。
休日でもとくにどこに出かけることもなく、家事をするわたしの横で漫画を読んでゴロゴロしてただけだな、という日だって
学校で今日はお友だちと喧嘩しちゃった、と晩ごはんのとき少し悲しそうに告白する日だって。
彼女は必ず、ベッドに入って眠りにつく前に「今日はとてもいい日だった」と、その日を振り返ってる。

どんないい日だったの?と私が尋ねると、
今日はいっぱい本が読めたしな、ママが作ってくれたごはんが美味しかったしな、給食で牛乳じゃんけん勝てたしな、とその日あった「いいこと」のみをピックアップしていく。

そうして、「きっと明日もいい日になるな」と言う。
そうだね、きっと明日もとってもいい日になるね、と応えると彼女は幸せそうに、あっという間に眠りにつく。


先日、娘と睡眠について話をしていたときのこと。
寝るときはな、その日本当に楽しかったことだけ思い出してベッドに入るねん。そうしたらな、あっという間にお迎えみたいに眠りがやってきて、ぐーーっと寝るかなら、気づいたらママに起こされて朝やねん。
ぐーっすり寝るからな、またその日もう思いっきり元気いっぱいで動けんねん。
と、言われた。

子どもが生まれて以来、眠りが浅くてちょっとした物音どころか気配で目が覚めてしまうような睡眠になりがちだった。
ひとりで眠れる環境を得ても、なかなか変わらない睡眠の質。

娘の側で寝付く様子を見ていて、わたしに足りないものを見つけた気分。

そうだね、睡眠時間も人生の大事な大事なひととき。
その時間を大切に思うなら、そうして幸せなことだけ想ってその時間に入ればいいんだね。


あー、今日はとてもいい日だった。
明日もきっと、いい日になる。

ニコちゃんマークみたいな笑顔の娘、その笑顔の源はすべてこの言葉に在るような気がしてる。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?