見出し画像

33.当たり前のことを言葉にしてみる効果

そりゃ当たり前だろ!ってことこそ少し深く考えて言葉にしてみると発見があるよね、という話。

150人規模の自社のコールセンターをDX・BPRするプロジェクトに参画しているのですが、関係者が多く、業績影響も大きいため、下で書いているようなプロセスを一つ一つ丁寧にやらないと事故が起こります。

現状を調査して、問題点と要因を洗い出して、あるべき姿を描いて、課題を設定して、解決策を考えて、関係者と合意して、解決策を実行して、効果を計測して、またさらに改善策を考えて…(最初に戻る)

この時に、途中から目的を見失って「手段が目的化」するというのがよく起こります。本当によく起こります。

それを防ぐために「目的の言語化と共有」を行って、検討が迷走しているなと感じたら目的に立ち返るということをするのですが、この「目的の言語化」というのがなかなか難しい。

例えば、「業務標準化」というテーマ一つとっても目的を言語化して関係者と合意するというのも一苦労です。


私たちのコールセンターはアウトバウンドコールセンターで、自社製品の契約継続を推進する部門になります。いわゆるお客様サポート的な業務もあるのですが、いわゆるコールセンターというよりも、もしかしたらカスタマーサクセス部門と呼んだ方がイメージは近いかもしれません。

そして自社製品の契約継続や顧客管理のためにやらなければならないことが無数にあり、KPIも膨大な種類になります。

それにもかかわらず、業務標準と呼べるものが定義されておらず、コールスタッフが自分の判断で好き勝手に電話しているもんだから、人によってパフォーマンスがバラバラなんです。

自社製品の機能を紹介して利用を促す電話一つとっても、スクリプトを使っている人もいれば使っていない人もいるし、そのスクリプトはスーパーバイザーが独自に作っていたり、スタッフが自分で独自に作っていたりします。さらには、どの時間帯にどのような顧客に電話するのか、機能Aと機能Bのどちらも使っていない顧客にどっちを優先して案内すべきなのか、契約継続を提案する際にどのような準備をしてどのような提案をすればいいのか、といった内容が完全にコールスタッフに委ねられている状況。

個々人の創意工夫を重んじる社風がベースにあるものの、流石に管理しきれていないということで「業務標準化」に取り組むことになりました。

150人ものスタッフを抱えるコールセンターでしかも上記のような状況であれば「「業務標準化」するのは当たり前だろう」と考えるのが普通じゃないかなと思います。

私も当初はそう考えていました。

ただ、ここで「業務標準化」という言葉に飛びついて、そのまま目的に据えるのではなく、もう一歩だけ遡って、「なんで業務標準化したいのだろうか?」と考えて、目的をもう少し解像度高く設定してみました。

電話の品質を上げたいのか、効率を上げたいのか、はたまた人の入れ替えに対応できるように暗黙知を形式知化しておきたいのか。

現状を細かく調査し、あるべき姿を検討した結果、最終的には「全員が電話の品質と効率のバランスを取れるようにすること」という目的に決まりました。

こうすることで、

・どの範囲でどの粒度まで業務標準を作成しないといけないのか?
・その業務標準の中身はどのような要素が必要か?
・業務標準化されているかどうかをどのような基準で判定するのか?

といった要素を検討しやすくなりました。


当たり前だと思っていることを少し深く考えて、言葉にしてみる。

これだけのことで得られるものはすごく大きいと気付かされた、そんな話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?