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「大谷翔平の別荘を知りたいのは人間の本能」、読者は本当にそう思うのか

アメリカ大リーグ、ロサンゼルスドジャースの大谷翔平選手をめぐり、一部メディアが非難を受ける状態となっている。

きっかけはフジテレビと日本テレビの取材パスが凍結されているという情報だった。 WEB メディア「現代ビジネス」は、「大谷翔平が『豪邸報道』に猛激怒していた...!日テレとフジが『出禁』になった『深刻すぎる理由』」と題する記事を6月12日に配信。取材パス凍結の理由は、「大谷選手がロスに12億円の豪邸を購入したことを詳細に報じました」「近所へのインタビューなどワイドショー取材のような映像を流した。まるでお祭り騒ぎ」などの状態だったとし、大谷の自宅を特定できるような映像も流しており、大谷がこれらの報道に対し怒ったとした。

気になった「日刊ゲンダイ」の記事

「大谷関連の記事は読まれる傾向にある」と語るのは、某メディアを担当している編集者だ。

「ヤフーのアクセスランキングを見ても、大谷関連の記事が上位3位以内に入っていることはもう珍しくなくなった。毎日毎日、大谷大谷ばかりだと『大谷ハラスメントだ』などの声も聞こえるが、PV(ページ・ビュー)数は取れる」

筆者は、少し奇妙な記事を見つけた。日刊ゲンダイデジタルが配信した「大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ...もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ」(6月30日配信)の記事だ。この記事は元「フライデー」編集長の元木昌彦氏が執筆している。

元木氏は記事の中で、大谷の自宅を公開した報道について「フジテレビや日本テレビのワイドショーなどの報道の仕方に問題があったのは間違いない」などと指摘。そのうえで「大谷側が激怒して2社の取材パスを凍結し、自分の映像を使用不可にしたというのは、私には理解できない」と切り出した。

「大谷がプライバシーを守りたいという気持ちはわかる。だが、12億円の豪邸や26億円ともいわれるハワイの別荘がどのようなものかを知りたいと思うのは、人間の”本能”である。読者、視聴者の欲求にこたえるのはメディアの重要な役割でもあるはずだ」

「プライバシーを守りたいのなら、大谷夫妻はドジャース球場に付設している『宿泊施設』にでも寝泊りしたらどうだろう」

などと提案している。

大谷の調子が落ちたらどうする、メディア

いやいや、ちょっと考え方が違う気がしないだろうか。今回のような報道があるから「出禁」騒動になったわけであり、大谷側がなぜ対応しなければならないのだろうか。現代のようにSNSがない時代なら、批判は「電話」「FAX」「手紙」「直接」といった手段で抗議できたのだろうが、今はSNSという武器がある。個人が好きなように意見を発信できるのである。便利なものだ。

メディア側もSNSを踏まえたコンテンツ戦略にシフトすべきである。特にプライバシーに関しては、皆があまり触れてほしくないと思っているはずだ。なぜ、日本のマスコミは大谷の野球選手としてのプレーや考え方ではなく、人となりやプライバシーに踏み込むのだろうか。

元木氏は、先の記事の中で「12億円の豪邸や26億円ともいわれるハワイの別荘がどのようなものかを知りたいと思うのは、人間の”本能”である。読者、視聴者の欲求にこたえるのはメディアの重要な役割」などと書いているが、本当にそう思っているのだろうか。疑問と言わざるを得ない。私たちが知りたいのは、別荘がどうのこうのではなく、大谷のプレーだ。大谷が野球選手としてどのような活躍をし、チームにどのような貢献をしているのかを知りたいのだ。

メディアはこれ以上、大谷の邪魔をしないで頂きたい。報道がきっかけで大谷の調子が落ちてしまったら、メディアはどのように落とし前をつけるのだろうか。


サポートして頂けたら嬉しいな。