ラウハラ

どの国、地域にも伝統工芸はあるものです。そして、その工芸に携わる職人さんがいます。私は、子どもの頃から人が何かを作る時の〝手元〟を見るのが大好きでした。母が料理や編み物をするところ、幼児番組「ピンポンパン」や、「のっぽさん」が出ていた『できるかな』など、工作コーナーや番組に出てくる〝手元〟にいつも見とれていました。大人になった今でも、人の〝手元フェチ〟は変わっていません。

ハワイの伝統工芸のひとつに「ラウハラ」を使った物があります。

画像2

「ラウ」はハワイ語で「葉」、「ハラ」は木の名前です。日本語では「タコノキ」です。古代ハワイでは、ハラの枝を屋根に使い、葉でマット、かご、帽子などを作り、実(み)は薬用に使ったり、レイを作ったり。また、乾くと先端が筆のようになる実は、染め物をするときに使ったそうです。

その昔、キラウエア火山に住む女神「ペレ」が、ハラの木の根っこや葉っぱに絡まってしまい、怒ってそのハラの木を引っこ抜き、種をハワイの島々にばら撒いたので、ハワイにはハラの木がたくさんあるのだとか。

画像3

現代でも、茶色くなったハラの木の葉を拾いに行くところから始まり、きれいに洗い、パスタを作る道具に似た物で伸ばし、縦長に細くカットします。

画像6

葉の裏に棘がある(棘がない種類もあります)ので、作業中に手が切れたりします。この作業がとても大変で、家族がそういう仕事をしていたのを子どもの頃に手伝っていた方は、「この作業が本当に大変で嫌だったわ」と話してくれました。

ラウハラで物を作る人のことを、「 Lauhala weavers(weave=編む)」と呼びます。縦、横、斜めに複雑に、でも規則正しく配置されたラウハラを、流れるような手つきで編み込んでいく様子は、飽くことなく見入ってしまいます。

画像7

↑ これはカッター。伸した葉っぱをすべらせて細くする時に使います。

画像4


すべて手作業の一点物。帽子、バッグ、大きな物は時間もかかるし、カットが細くなればなるほど編むのも難しくなるのでそれなりのお値段がします。でも、作業工程を知ってしまうとその金額にも納得です。

画像8

↑細やかな編み込みの美しい帽子。さきほどのカッターとこの帽子の写真は、ラウハラ編みの上手な友人が提供してくれました。ありがとう!

ラウハラの帽子を格好良く被っているおじいちゃんやおばあちゃんを見ると、「粋だねぇ」と心の中で呟かずにはいられません。

ラウハラの帽子が似合う、粋な人になりたいものです。

画像4


画像5

【text&photo by Mina from Hawaii Big Island 】

成田水奈 愛知県出身。27歳の時に米国アイオワ州に留学。小学校教員免許を取得後公立小学校で教える。結婚を機に全く興味のなかったハワイ島コナに移住。しかしコナでフラダンスと出会いフラを通してハワイの歴史や文化、自然との関わり方や生き方を学びながら、日系人協会に所属し日系人移民の歴史、功績も学ぶ。離婚後もハワイ島が気に入り引き続き公立中学校で日本語とEL (English Learners)クラスを教える。通訳をきっかけにタマラエネルギーと出会う。自分らしく生きるサポートエネルギーを広めるためアクティベーターとなる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?