熊に治してもらった火傷

夕食の支度、お肉に添えようと
マッシュポテトをチャチャチャッと作ろうと
レンジスチーマーでチーン!

出来た出来たとレンジから運ぶ途中
その容器の蓋がパカッと少しずれた。

アチー!!!!!!!!!!

左手の親指に蒸気がモロに当たった。
「ただいま、蒸気、100度以上の蒸気が親指を直撃しています!」
頭の中で、状況レポートが始まる。

こういう時、私の中でその後を決める「反応パターン」がある。

1つは、アチー!!!!!となっても
なんだか、大丈夫!と思って、すっかり忘れていける時。
そんな時は、本当に大丈夫で、痛みもその時限りで終わり、治ってしまう。

もう1つは、アチー!!!!!となった後
「これは、やっちまったな」とナーバスになる時。
この時は、痛みが時間の経過に正比例して増していき、治療が必要になる。

今回は、後者パターン。
脳内レポートをしている自分の気持ちがどんどんナーバスになっていく。
やばいやばい。。。何度も頭の中にこの文字が流れる。

水道のお水は、この猛暑で全然冷たくなくて
仕方ない、と冷凍庫から保冷剤を出して当ててみるが
今度は冷たすぎて持ってられないし、体が嫌がる。
対処パターンが浮かばない脳は、ますますのネガティブ思考に陥っていく。

(このままだと、しばらくヒリヒリと付き合わないといけないな。
 料理も途中だし、ガス使いたくないな〜。お湯も使いたくないな〜。
 お風呂どうする? あ〜・・・なんでこんなことに)

あ、そうだ。
うちには「熊の油」があるじゃないか!

熊の油の、火傷に関する効果の高さは、子供の頃の経験で分かっている。
だが、今は料理中で、あの「トンカツを揚げた後の油のような匂い」を想像し、体温ですぐにトロ〜っと溶けて垂れるようなあの「取り扱い」の難しさを思うと、「どうしようかな・・・」と一瞬躊躇した。

さあ、塗るのよ、レイコ! 熊の油があるんだから!(心の声)

早速、冷蔵庫に保管していた熊の油の瓶を開け、スプーンでちょこっ掬って
親指にのせて、さあどうするか。で、サランラップを取り出して、片手でやるのでめちゃめちゃだが、親指をラップした。

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↑ ぐちゃぐちゃですが(笑)

熊の油を塗って、ラップして、数秒後、親指がにわかに熱くなった
これはちょっとヤミツキになる、思いがけない変化で
うわ、なんだ、なんだ、指が熱いぞ!!!!! と結構興奮した。

生命力というか、治癒力というか、熊の命と私の命のまさにセッション!

数分して、そのカーッと熱くなる感覚が鎮まると、なんというのか、もう、さっきの「火傷をした指」というのではなくなったのが、はっきりした。

治ってる。指、絶対治ってる。

ラップを外す。見ると、皮膚の変色はなく、水ぶくれにもなっていない。
火傷? どこ? 自分でもわからない。
触れてみる、恐る恐る・・・あ、痛いところがない。
水に触れる、お湯に触れる、物を持ってみる、何をしても、
何事もなかったかのように、まるで時間を巻き戻したかのように
普通の私の親指さんなのです。

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感動した。

頭の先から足の先まで嬉しさが溢れた
幸せだ、と思った。なんだろう、この幸せな気持ち。
例えようのない、幸せな気持ち。

豊かだと思った。
有り難いと思い、ありがとうが心から湧いて来る。
そして、嬉しかった
痛みもなく、また自由に手が使える。

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冷蔵庫に眠る、私の大事な宝物。
あの熱さは、本当に忘れがたい。

*私が購入したのは、フェアトレードショップの LOLOSITOA さんです。欲しい方はお問い合わせしてみてください。


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【text by REIKO from Japan】

佐藤礼子 山間地の昔ながらの暮らしが残る環境で高校までを過ごす。高校時代の愛読書は『留学ジャーナル』と『Hi-Fashion』。短大で村田しのぶと出会い、物心両面で彼女と彼女の家族に支えられる。「ここなら合うと思う」と村田が持ってきた会社案内で就職先を決める。そこで宮本ちか子と出会う。彼女はネパールへ。私も結婚・出産を経てフリーランスライターに。タマラと出会い、ライター業と兼務で創始者秘書に。タマラが縁でハワイ島で成田水奈と出会う。その後、宮本ちか子もタマラに参加。そして、約20年ぶりに村田しのぶと再会し、2018年「Beautiful planet」を立ち上げる。


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