夜景
思っている以上に、想像よりはるかに、私は対面に問題を抱えているんだと思った。皺シミ艶ハリの問題ではない。社会性の問題だ。
チェーン店ならたいがいだろうと選んだその店は、うっかりお冷を運び忘れていたりした。そのくせ注文を取りに来るのは早すぎて、まだ誰も決まっていない。
口をゆすぐために寄ったトイレの鏡に映った顔は脅威だった。何これ。重ね塗りしすぎた化粧下地が撚れてダメになっている。
崩壊した顔面を引きずってまた歩き出す。誰も助けてはくれない。
でも総じて感謝している。この顔に驚かない人々に。
真っ暗だと、夜景とは言わないのだという。
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