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『天の瞳』がバイブルという話。

倫太郎になりたい。

学校カーストに巻き込まれる前に知ることのできたあこがれの先輩、

倫太郎。

彼は物語のTHE主人公的な優等生ちゃうし、間違ったことも喧嘩もするけど、どんな友達にも同じように接するし、人間関係の築き方にめちゃめちゃ影響を受けた。

その中でも倫太郎とシュウちゃんの関係性が印象に残ってるねんな。


近所の自転車屋さんの店先で、いっつもタイヤのパンクを水につけて探しているシュウちゃん。

二人の関係は倫太郎が保育園に通う最初の幼年編には既に始まっている。

のんびり話すシュウちゃんと、同じペースで話す倫太郎。

私はシュウちゃんがのんびりした性格の、幼い倫太郎に合わせてくれているいいお兄ちゃんやと思ってた。

倫太郎が小学生になっても

中学生になっても

シュウちゃんの調子は変わらず描かれていて、

成長編だったかあすなろ編だったかのタイミングで実はシュウちゃんは知的障害がある人物と判明する。

それまでシュウちゃんに関する直接的な描写は一切ない。

そうか、倫太郎にはシュウちゃんは近所の自転車屋さんにいる友達で、元ボクサーのあんちゃんも、満も青ぽんもたけやんもリエもみんな一緒なんやな。倫太郎の目に何も特別に映ってなかったから描写されてなかったんや。


2006年、私が高校3年の秋、著者の灰谷健次郎氏が亡くなって

『天の瞳』は遺作になった。

倫太郎は中学生で止まったまま。

いつの間にか私のが先輩になってた。


私は倫太郎になれたンやろか。

大人になった倫太郎に会いたかったな。


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