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C-note:’210212-1、神社の装束と神社本庁

装束

下の写真、左から、千早姿の巫女装束、女性神職装束、神職装束
千早:巫女が神事を奉仕したり、巫女舞・神楽を舞う場合には千早を上から羽織る。千早は古代から用いられているが、本来は白無地の絹一幅の中央部に縦の切込みを入れただけの貫頭衣スタイルであった。後に女官の装束として絹二幅で構成され、脇を縫わずに前を胸紐(むなひも)で合わせるようにして着衣するスタイルになり、更に袖が付けられて肩袖の根元だけが縫われた現在のスタイルになった。

女性神職装束3

巫女装束

下の写真、裳(も)姿の巫女装束。巫女は神職とは違うもので、資格も必要ないため、女子神職のように服制は定められていない
※ 裳(も):女房装束の晴装束で用いられる後腰に付ける装飾。腰から後ろへトレーン状に棚引かせる布である。浦安の舞他、神楽や神事で用いられることがある。白地に植物や白砂青松が描かれ、左右に引腰(ひきこし)と呼ばれる、刺し縫いが施された細長い布を一本ずつ引くのが特徴。

800px-浦安ノ舞(後ろ姿2)

女性神職装束

女性神職装束は、戦後登場した女性神職のための装束である。神職ではない巫女・舞女の装束は含まれない。女性神職装束は、宮中の下級女官の衣装である采女装束と袿袴を折衷にしている。ただし、旧規定の水干は現在でも使われており、男性の狩衣のように裾を外に出して着付ける。紐を結んで襟をとめるため、狩衣の首にリボンをつけたように見える。

女性神職装束2

神社本庁

神社本庁は、神宮(伊勢神宮)を本宗とし、日本各地の神社を包括する宗教法人。「庁」と付くが、官公庁ではなく宗教法人法に基づく文部科学大臣所轄の包括宗教法人である。
神社本庁は、神道系の宗教団体として日本最大であり、約八万社ある日本の神社のうち主要なものなど七万九千社以上が加盟している。都道府県ごとに神社庁を持つ。戦前は内務省の外局であった神祇院の後継的存在であり、宗教法人法に基づく包括宗教法人である。

※ 包括宗教法人:宗教法人には単位宗教法人と包括宗教法人があり、単位宗教法人は被包括宗教法人と単立宗教法人に分類される。単位宗教法人とは神社、寺院、教会のような境内建物(宗教法人法3条)を有する宗教法人であり、宗教法人法ニ条(宗教団体の定義)の第一号に該当する団体である。
包括宗教法人は単位宗教法人あるいは非法人の単位宗教団体を包括する宗教法人であり、宗教法人法第ニ条の第ニ号に該当する。例えば、仏教では宗派(宗団)が包括宗教法人に、本山や末寺が被包括宗教法人にあたる。
また、単位宗教法人のうち、包括宗教法人もしくは非法人の包括宗教団体の傘下にあるものを被包括宗教法人といい、そうではないものを単立宗教法人という。被包括宗教法人が包括宗教法人から独立して単立宗教法人となることもできる。
神社本庁の宗教法人としての規則である「宗教法人『神社本庁』庁規」では、第三条で、神社本庁の目的を、包括下の神社の管理・指導、神社神道の宣揚・神社祭祀の執行・信者(氏子)の教化育成・本宗である伊勢神宮の奉賛・神職の養成・冊子の発行頒布を通じた広報活動などとしている。

神社本庁の歴史

1875年(明治八年)に、全国の神道諸派を結集させた行政団体として神道事務局が創設され、総裁には有栖川宮幟仁親王、副総裁には岩下方平が就任した。1882には神道事務局から生徒寮を分離独立させて神職の中央機関である皇典講究所が創設。神道事務局のほうは1884年、神道本局と改編された。1890年(明治二十三年)11月29日に施行された大日本帝国憲法第二十八条により、国民の「信教の自由」が認められると、神道も仏教、キリスト教とともに宗教団体として国家の公認を得ることになったが、一方で、神社は国家から宗教として扱われないまま国家祭祀を公的に行う位置づけとされた。

1945年(昭和20年)10月4日に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)が「思想、宗教、集会及言論の自由に対する制限」を撤廃し「天皇、国体及日本帝国政府に関する無制限なる討議」を認める「自由の指令」を公布する。
12月15日には、「神道指令」を日本政府に命じて神祇院を廃止し、西洋で見られる緩やかな政府と宗教の分離とはかけ離れた、国家から宗教的要素を完全に分離させることを目的とする過激な内容を実施しようとした。これにより、12月28日に「宗教団体法」が廃止されるとともに、「宗教法人令」が公布され即日施行される。
1946年(昭和21年)1月23日、「神道指令」に伴い、大日本神祇会、皇典講究所、神宮奉斎会の3団体が中心となり、神社本庁を設立した。

神社本庁の発足に従い、宗教法人法(宗教法人令)のもと、神社も、他の宗教と同じく宗教団体として扱われることとなった。

神宮大麻

全国の傘下の神社で得られる神宮大麻(天照大御神の札)初穂料のうち、半分が神社本庁の収入とされる。残りの半分は伊勢神宮の収入となる。これによる2001年(平成13年)度の神社本庁の収入は約35億円だった。なお、神社本庁は傘下の神社に対し、一定数の神宮大麻の頒布を求めており、規定数に達しない場合も傘下の神社は札を返さない。神社本庁は、神宮大麻の頒布を活動目的の一つとしている。

皇室典範改正に関する神社本庁の基本的な姿勢

2005年(平成17年)3月17日、神社本庁は、「皇室典範に関する有識者会議」が皇位継承のあり方を検討していることを受け、「皇室典範改正に関する神社本庁の基本的な姿勢」としてまとめ、各都道府県の神社庁に送付した。
また同年11月24日に有識者会議が報告書を提出したことに対し、12月2日に「皇室典範改正問題に関する神社本庁の基本見解」を発表した。
その中で皇位は「一つの例外もなく男系により継承されて」いるとして、「皇室典範改正に関する神社本庁の基本的な姿勢について」で政府や有識者会議に対して男系による皇位継承の尊重を呼びかけた。


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