数学と向き合う
私は勉強が楽しい。だが、少し前までは、そんなこと一切思っていなかった。分からない問題があるとイライラして、すぐに諦める。そんな私が、休日のほとんどを勉強時間に充てるようになったのには、キッカケがある。
私は、中一の頃、数学の中でも、幾何が苦手だった。何がどうなったらそんな証明ができるようになるんだ!!とずっと思っていた。そのため、テストの結果は最悪だった。私たちの学校では、誤答ノートというものがあった。教科ごとにノートを用意し、テストで間違った問題を解き直すためのものだ。誤答ノートは必ず、感想を書かなければならない。何故その問題を間違えたのか、どうしたらより良い点数が取れるのか、などを気がすむまで書く。
中学に入って、ある程度テストのシステムにも慣れた頃、私は幾何の誤答ノートに「私は幾何が苦手」という趣旨のことを書いた。先生からなんと返されるか分からない。だが、もう仕方がない。どうにかならないのか。そんなすがるような思いだった。
そして、誤答ノートが返却された。怒られるのではないか、ドキドキしながらページを1枚1枚捲る。私の目に写った先生の言葉は驚きのものだった。
「一緒に、全力で楽しみましょう!!」
!!??勉強を楽しむ…?その頃の私にとっては訳のわからないことだった。少し落ち着いて考えてみると、私は今まで勉強を「しなければならない」「分からないのはおかしい」と考えていたのだ、と実感した。勉強を「楽しむ」一度試そう。そう思い、勉強を、これはゲームだ、と捉えるようにした。
どうしてもしたくない時はしなくてもいい。分からなかったら誰かに訊けばいい。ただそれだけのことだった。だんだん、勉強が楽しくなってきた。成績も少しあがってきた。私は、先生のたった一言で救われたのだ。
物事の概念から考え直すということは非常に難しい。1人ではできないだろう。だが、誰かに教えてもらえば、意外とすぐに考え直せる。迷ったら、一度立ち止まって、それと向き合うべきだ。時間の無駄だ、と思う人もいるかもしれないが、後の自分が大きく変わることになるのだから、今まで悩んできた時間に比べれば、瞬きくらい一瞬のことだ。
私は、私の勉強の概念を変えてくださった先生に本当に感謝している。
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