「大衆受け」を目指さない
ビートルズも布施明も、一度大衆受けしたあとに、路線変更している。ビートルズはレコーディング中心に。布施明はいわゆる歌謡曲だけでない、さまざまなジャンルを扱う歌い手に。
人気絶頂の時のやりかたのまま、やっていくこともできたに違いない。
でもそのままだと腐ってしまうから、道を変えた。結果的に離れたファンもいただろう。
でも後になっての評価は確実に、道を変えたことによって高くなっている。
つまり大衆に受けることがすなわち質が高いことでは必ずしもないということだ。
みんなが知っている。みんながいいと言っている。
その視点に囚われてしまうと、本当に良いもの、質の高いものは見えなくなってしまうんじゃないか。
一方で、周りの目が気になるのが人間、というのもまた事実。ましてや芸能は、見てくれる人がいなければ始まらぬ。
その点では彼らは最初のキャリアで、「見てくれる人」はたくさん得ていた。何が幸いするかは分からない。
ただ変わっていく姿勢を彼らがとっていなければ、今の評価はないだろう。
つまり、結局は世間体を気にしすぎずに、良いと思うものを試行錯誤し続ける覚悟と気鋭があるかどうかなのではないだろうか。
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