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【ベアーズ紹介】アロマトリートメントで地域とつながる|塚本あずさ

起業型地域おこし協力隊「シモカワベアーズ」の募集が始まりました。

「シモカワベアーズ」は、毎年少しずつ募集要項の切り口を変えて募集をしてきました。

2021年度着任のテーマは「好きなこと×地域課題」。

ご自身のやりたいことと、地域がかかえる課題、それぞれが交わるポイントを事業としてつくり出す方を募集しています。

この記事では、歴代の「シモカワベアーズ」の取り組みや暮らしぶりをご紹介。

今日は、ベアーズ第3期の、塚本あずささんです。

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2019年の11月に東京から下川町へ移住。築90年の納屋をリノベーションし、2020年8月~町内にアロマセラピーと漢方のリラクゼーションサロン「薬草庵」をオープン。サロンでのトリートメントと、薬膳茶の販売を行う。8月20日にオンラインショップをリリース。

「参加者がゼロだったらどうしよう」と思っていた

── 塚本さんの活動内容を教えてください。

塚本 アロマトリートメント(マッサージ)の提供と、ブレンドした薬膳茶を販売しています。それから、自宅でご自身でできる体のケアを学べるワークショップもおこなっています。コロナウイルス感染拡大の影響で、対面では実施しづらくなってしまったので、今後はオンラインでできないかと考えています。
 
── 東京では、どんなことをされていたんですか?

塚本 アロマトリートメントを提供するお店で働いていました。薬膳茶のブレンドとセルフケアのワークショップは、下川に来て、初めて取り組んでいます。やっています。
 
薬膳は、専門のスクールに通って漢方の資格を取っていたので、その知識を活かせないかと思って。セルフケアは、前の職場でお客様へ提案するために外部から講師を呼んで定期的な講習を受けたことはありました。その経験を活かせないかと思い、チャレンジしています。
 
── ベアーズとして走り出して、いかがですか? 想定していたイメージと違っているかどうか、とか。
 
塚本 正直、最初から意気揚々という感じではありませんでした。「うまくいかないかも」という思いも、なくはなかった。

ベアーズの面接を受けた時も、トリートメントだけでは食べていけないことは自覚していました。だから「3年後は何かとトリートメントを並行して事業をする形で独立することになるかな」というイメージがありました。

── 起業するということは、一度も考えたことはなかったのですか?
 
塚本 いえ、ベアーズに応募する前から、考えてはいました。前の職場に勤めた3年間くらいは、もともと修行のつもりで、いずれ独立しようと思っていて。
 
── 事業への手応えは、どうですか?

塚本 あっという間に移住してから時間が経ってしまって、上手くいっているのかどうか判断がむずかしいですが……移住して3ヶ月後くらいには、セルフケアに関するワークショップが実施できたり、2月に開催された「アイスキャンドルミュージアム」の時に出店できたりしたのは経験として印象的でしたね。参加者がゼロかもしれないと思っていたので、ゼロではなくてホッとしました。

「アイスキャンドルミュージアム」に出店した時、病院に勤めている方から薬膳に興味があると言ってもらえたんです。「私がやっていることに興味がある方がいるんだ」と励みにもなりました。

波はありますが、トリートメントの予約も、ちょっとずつ増えつつあって。

── 協力隊の任期満了の3年後に、当初想定していた通り、別の仕事もやりながらトリートメント事業も手掛ける形になってもいいなという気持ちですか?
 
塚本 はい。一本に絞ってやろうとは思っていなくて、トリートメントもしつつ、もともと化粧品の製造にも興味があったので、「フプの森」さんとか町内の他の事業者さんの繁忙期に、アルバイトをさせてもらったりできたらなと。
 
── 実際に下川町に来て事業を進めるなかで、方向性を変えたことはありますか?
 
塚本 トリートメントや薬膳茶のブレンド、セルフケアのワークショップをきっかけに、自分のケアの方法を知ってもらえれば、今回のコロナ禍のような事態のとき、病院に行く前に感染症や風邪を事前に防げる部分もあると思ったんです。

「よく眠れなくて睡眠不足だけど、こういうケアをすれば改善できるかも」「咳が出てきたから、これを飲んで改善しよう」というふうに。

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塚本 自分で自分のことをケアできる方法をどうやって伝えていったらいいのかなということを考えているうち、コミュニティナース(*1)という取り組みに出会って。

ただ私は看護資格を持っていないので、ナースとは言えません。だからナースとしてではなく予防医療的なケアを提供できる人として、どうやって地域の方々と関わっていけばいいかを、コミュニティナースの講座を受け、勉強しました。

(*1)コミュニティナース:地域に暮らす方々の自宅を訪問し、体調や健康状態を伺う訪問看護。予防医療やコミュニティ形成の役割を持つ島根県雲南市から始まった取り組み。参照:Community Nurse Company 株式会社 公式サイト

甘えやすい地域

 ── 地域の人との関わりは、どんな感じですか。

 塚本 最初は、地域になじめなかったらどうしようという不安はありました。でも、移住してきて2日目には、町内の方と夜一緒にごはんを食べたりお酒も飲めて……2日目からあんなふうになるとはと思っていなかったので(笑)、すぐに不安はなくなりました。

自分から「困っています。助けてください」とアクションを起こせば助けてくれる人たちばかりだなと感じます。甘えやすいというか。
 
── 「甘えやすい」! いい言葉ですね。

塚本 ただ甘えっぱなしはダメだと思うので、ある程度は自分でやりますが、どうしようもない時とか、誰かに話さないとすっきりしない時、気軽に話せる人が多いですね。

── 今後、チャレンジしたいことはありますか?

塚本 造園です! 自分のサロンとハーブ園を、作ってみたかったんです。

姉と姉の旦那が造園業に携わっていたので、アドバイスをもらいながら、リノベーションした小屋周りの庭を理想の形にしたいなと思っています。

猫のしっぽ カエルの手』という映画、ご存知です? その映画に出てくるような空間を作りたいんです。

サロンでトリートメントを受けなくても、庭だけ見に来てくれる人もいたらいいなって。

畑をやっている方は町内にたくさんいるんですが、花を育てている人がそこまでたくさんいないなと感じています。もっと花があってもいいなと思うんです。

── 土地ならあり余っていますしね(笑)。

塚本 空地を見ると、種を撒いて花畑にしたらいいのに!って思います(笑)。

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(塚本さんのサロン)

塚本 植物に関して、好きなエピソードが一つあるんです。

フランス南東部にある「フルーランス」という町があります。

もともと「花の町」という意味を持つ名前ですが、ある日、薬草療法家のモーリス・メッセゲという方が市長に選ばれました。彼は荒廃したフルーランスを花でいっぱいにしようという計画を立てて、町に活気が戻ったという実話があるんです。

植物があると、なぜそんなに人が変わるのかに、興味があります。薬用として使うだけでなく、ただ見ているだけでも人に与える影響って大きいなって。

姉に聞くと、理想の庭に近づくまで大体3年から5年はかかるって言われました。完成するのは、10年くらいかな。

時間はかかりますが、「よしっ」て自分が納得できるものを、作りたいですね。

(文・写真:立花実咲)

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