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狼と虎。
なんというか…何となくハッとしたというか。
そんな会話があった。
端的に言えば不思議に褒めて頂いて(?)不思議な愛情表現(?)を頂いたのだけど。
自分は様々な顔がある。
顔がある、って変な感じかな…様々な側面というか。
皆そうだと思ってたし、そう思ってる。
職場の顔。家での顔。誰かと居る時の顔(更に相手にもよる)。一人の時の顔。
使い分けると思ってた。
そして自分は使い分けきれてるとの謎の自信も。
友人の数は少ないのだけど、付き合いは長い人が多い。
有り難いと思いつつ、失礼だけど正直物好きだなとも思う。
その中でも足掛け16年来の友人の言葉に驚いたというか、ハッとしたというか…衝撃を受けて。
ふと会話の最中に「アンタはよく一匹狼とか言われるけど、アレって違うよね」って。
まず「一匹狼」だとよく言われていたのかと驚いた。自分の事なんだけど。
「え?」って素で聞き返してしまって。
出来るだけ外では浮かないように(?)とか一応気を付けてはいたつもりだったのに。
一人の時なら構わないのだけど。
浮こうと飛ぼうと何しようと知った事では無いかな、というのが正直な所。
ただ、友人とか近しい人と居る時は一応気を付けてはいたつもり。
…自分の事で友人まで「変なヤツの友人=類は友を…」の流れが嫌なので。
いや、確かに物好きだなとは思うけど…何も知らない方にどうこう言われたくはないかな、っていう。
なので、友人の及び知るレベルで一匹狼とか言われていたのかと驚いて。
あまつさえは、厚かましい事に。
ほんのり期待した、その友人の「一匹狼とは違う」という言葉に。
(あ、何かフォロー的な?)と。
そうではなかった。
「一匹狼っていうか、狼じゃないのよ」
…え、そこ?…狼かどうかは個人的にはどうでも良いのだけど、何だろうその斜め上みたいな着眼点。
その友人は、所謂「オネェさん」と呼ばれる人なのだけど。
「え、いや狼がどうとかじゃ…」
って口に出た所で。
「狼って基本的に群れるでしょ?…だから群れないとか群れからはぐれるタイプが『一匹狼』とか言われるのよ。最初から群れなかったら一匹もクソも無いと思うのね」
…確かに。でもスゴい所に目を付けたなぁ…なんて思って聞いていたら。
「アンタは狼ってより虎だと思ったの。…生きる為に擬態はするけど群れるつもりは特に無い、みたいな」
…着地点はそこなのか。何、そのまさかの感じ。
「聖帝サウザーだっけ?あの台詞。『退かぬ!媚びぬ!省みぬ!』ってヤツ。…アレを地でいく感じ」
自分はサウザーというか『北斗の拳』にはあまり詳しくはないのだけどサウザーは虎だったのか…?
もう頭の中が「?」でいっぱい。
「外面っていうかね、仕事中は知らないけど。プライベートでも結構擬態してるよね。昔より上手くはなったと思うけど、疲れるんじゃないかと思って」
虎からサウザーになって、心配されている(?)とは。
自分の身に何か起きたのか。
「アンタさ、素で喋ったら『キャラ作り』とか言われてたじゃない?…見る目が無いっていうかバカね、今の方がよっぽどキャラ作りして喋ってんのに」
心当たりが無いとは言わないけど、急にどうしたの。
「あたしはね、そのキャラ作りしたアンタを見て知ったような顔してるヤツがムカつくの。それを褒めてようと何してようと、評価してる事がムカつくってのよ」
いや、自分的には高評価なら喜ばしい気もするのだけど…?
「アンタは虎のまんまが一番イイのよ。黙ってサウザーでイイの、それをさせない状況にしときながら知ったような口利いてんじゃないわよって感じ」
いやいやいや、本当に何かあったの?
「黙ってサウザー」っていうパワーワードもなかなかだけど、何にそんなにお怒りなのか。
結局、黙って聞いてるしかなかったのだけど。
「あたしはアンタは恋愛対象にはなんないけど。そういうのは別として、虎のアンタが好きよ。」
有り難いのだけど本当にどうした。何の告白(?)なんだろう。
「どうせまた『何を急に』とか思ってんでしょ?」
「はい」
なんでか敬語になってしまった。
「べつに。何か無きゃなんないの?…あたしはあたしが喋りたい時に喋りたい相手と好きに喋るわよ」
それはまぁ…お互いそんな感じだけど。
それにしたって狼だったかと思えば虎でサウザーで忙しいな、自分も。
「あ、酔ってないから。休肝日ね」
素面でもどちらでも、いずれにしても何かあったのかと思ったのだけど。
「ただ虎の生態系みたいなの見て、アンタの事が思い浮かんだだけ。狼じゃなかったって納得しただけだから。ずっとなんか引っ掛かってたのよ」
「アンタの理解者気取りするつもりも無いけどね」
黙ってる間に畳み掛けるみたいに喋られて。
マシンガントークってこういう事かぁ…なんて。
「とにかく。アンタ、擬態すんのはイイとしても程々にしときなさいね。あたしは虎のアンタの方が好きよ」
「物好きだね」
思わず本音がポロっと。
「はぁ?だって、擬態してるアンタの面白くないことったらもう…それに物好きはお互い様でしょ。今みたいにあたし達みたいなセクシャリティが受け入れられつつある前から、それこそ10年以上前からアンタは気にしなかったじゃない」
「あたしがアンタに自分の事話した時、すっごい不思議そうに「だから何?」って言ったの、忘れてないからね」
「こっちは一応気を遣ってたのに。「あなたが女の人の格好をして、男の人を好きになったら何か問題があるの?」とか言いやがったのよ」
…よく覚えてたな、それは確かにそんな事を言った覚えがあった。
「本当拍子抜け、っていうかこっちがビックリ。あたしの気遣いとか覚悟みたいなの返せと思ったもん」
そんな事を思われてたのか…割と根に持ってるなぁ、それこそもう10年以上も前の事じゃない。
でも笑ってるという事は許してはくれたんだろうな、と思った。
「お互い歳も取ったわね、懐かしくなっちゃった…あ、ちょっとヤダ、カップ麺のお湯入れてたんだけど!」
えぇ…カップ麺の合間にする話だったの…?
「やーだー!もうコレ、ラーメンじゃないわよ!食べるけど!…じゃ、そういう訳だから」
食べるの!?
約30分以上放置したカップ麺だけど…大丈夫なのか。
そしてこの嵐のような電話は何だったんだろうと思いつつ、サウザーのその台詞は聞いた事があったけど詳しい状況までは知らなかったから何となく気になって調べて。
…少し微妙な気分になったけど。
でも。
こういう友人が居てくれる事は有り難いと感じて、昔の事まで思い出して、なんだか感慨深くなった昨日の夜。
自分も好きだよ、そういう所もね。
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