ドイツでウェディングフォトを撮った話

私たち夫婦はコロナが始まる直前に入籍し、そのままドイツに来たこともあって結婚式をしていない。
なのでまずはドイツでウェディングフォトでもとれればいいなと渡独当初からふんわりと思っていた。
ドイツに来て2年が経ち、今年の夏にようやくウェディングフォトを撮ることができた。

パッケージ等で申し込めば簡単かもしれないが、ドイツでウェディングフォトは主流ではないらしく、調べてもあまりヒットしなかった。日本の旅行会社が主催しているものはあるかもしれないが、コロナ禍で現在行っているかも不明。何よりも私たちの思い出の地で撮りたいこと、それぞれ好きな衣装を着たいこと、満足できる金額範囲内で行いたいこと、とにかく型にはまったものではなく私たちらしいウェディングフォトが撮りたかったので一から自分たちで準備を進めることにした。ドイツでツテもコネもない私たちにとってウェディングフォト準備は常に未知で手探りな状態であった。

まずはドレス探し。これが予想以上に難航した。言語の壁に加え、体型や好みの壁にもぶち当たった。
自分が着たいドレスとまわりがすすめるドレスや似合うドレスが違う。
自分と夫の中でコレだな!って決まっている状態で、友人や家族に最終判断してもらう感覚で相談した。率直な、正直な意見を言ってくれそうな人に意見を求めた。そしたら私の第一候補のドレスはしっかりと否定され、私の中で候補外だったドレスをおすすめされた。

ドレスなんて自己満足であり、自分が良ければいいじゃないかと思う反面、家族や友人があまりよく思わなかったドレスは着れないという思いが強く、どうすれば良いかわからなくなった。
海外に来て、人は人で自分は自分、まわりのことばかり気にせず、自分の気持ちに正直に生きたい、そう思って、そうなれるように意識していたにも関わらず、結局まわりの意見ばかり気にしている自分がいた。大切な家族や友人に自分から率直な意見を求めておきながら、期待外れの意見が返って来て落ち込む自分。ドレスについて考えることすら嫌になった時期もあった。

なので少し時間を置き、当初の自分たちの気持ちを改めて思い出してみた。
私はドレスが着たいというよりも、ドイツの思い出の地で、日本のウェデングフォトという枠や概念にとらわれずに自分たちの好きなようにやりたい、それが本来の希望であった。だから王道のウェディングドレスにこだわる必要もないんじゃないかと前向きな気持ちに傾き始めた。
そんなこんなで、街を歩いていた時に偶然みつけた洋服屋さんに、これだ!と思えるセミフォーマルな白いドレスを見つけることができたのでそれに決めた。

フォトグラファーやブーケも自分たちで探して手配した。ヘアセットについてもいろいろ悩んだが、結局友達にセットしてもらうことになった。プロでもなんでもないが、私にとってこの地での生活の支えになってくれている友達にヘアセットしてもらうこともまた特別で良き思い出となった。

そして当日は天気に恵まれ、自分たちの満足のいく写真をとってもらうことができた。

日本にいる時は割と型にハマった人生を生きてきた私。身内に強要されたわけでもなく、自ら選んだわけでもなく、無意識に、ただなんとなく。世間体や流行に流されて、本当に好きなもの、なりたい自分は自分自身が作り上げてるのではなく、周りに作り上げてもらっていたな、と今になって気づく。「みんなが着てるからかわいい」「世間体が良いから私もそうなりたい」といったように、他人の評価が自分の意思決定にいつも携わっていた。もちろんそれが悪いわけではないし、当時の私はそれで楽しかったし、幸せを感じていた。生き方や選択に正解なんてない。その時々で全く違う選択をしたっていい。ただ、今の私は、なんとなく世間の流れに身を任せて生きるのではなく、自分の意思や気持ちと向き合い、一度しかない人生、いつどうなるかわからない人生を大切にして生きていきたいなと考えている。
昨年末にあるサッカー選手がつぶやいた言葉、「正解を選択するのではなく、自分の選択を正解にしたい。」このフレーズが私にとってとても心に響いたので、この気持ちを大切にしたいなと思う。