見出し画像

プログラムの著作権を明示して!という話。

早いもので、もう11月も中旬に差し掛かろうとしていますが、クリスマスも近くなるということで、もうじきいくつもの「Advent calendar」(アドベントカレンダー)が作成されるかと思います。

特に、ウェブ技術者やエンジニア界隈のアドベントカレンダーでは、特定のテーマに沿ったプログラムのソースコードをブログ等に掲載する場合も多いかと思いますが、ここでお願いしたいのは、

「掲載するプログラムに関する著作権をハッキリと表明して!」

ということです。

もちろん、これはアドベントカレンダーに限った話ではなく、日常のブログ記事なども該当します。

プログラムは著作物

まず、前提として、どんな言語であっても、プログラムは原則として著作物であると考えられます。(著作権法10条1項9号)

著作物である以上、それをコピー(複製)したり、ネット掲載(公衆送信)したりすることができるのは、原則的にはプログラムの著作権者に限られます。
(※複製、改変には例外もあり、無断でコピーなどできる場合もあります)

つまり、ネットで見つけた記事に記されていたプログラムを、自分のプログラム中にそのまま取り入れるということは、プログラムという著作物の複製に該当しますので、原則として著作権者の許諾なしで行うことはできません

(※プログラムの「実行」は、著作権者の権利が及ぶ利用方法では無いため、無断で行うことができます。ただ、ブログ等に掲載されているプログラムを実行するためには、それをダウンロードしたり自己のプログラム中に書き写したりといった”複製”行為が必要となるため、著作権の影響は受けます。)

許諾を得るのも面倒

先述の原則に従えば、著作権者の許諾なく利用することができないことになりますが、それはそれで問題があります。

ブログ投稿者としては、いちいち許諾を求められてもそれに個別に対応することはとても面倒ですし、利用申請する側にとってもそれは面倒ですので、それを嫌ってプログラムの利用を断念するかもしれません。

ブログ投稿者としても、強く権利を主張しようという考えではなく、自身が考案したプログラム、ソースコード、アルゴリズムなどを広く知らしめたい、困っている誰かの手助けになりたい、そういう思いがあるのではないでしょうか。

また、利用したい側にとっても、掲載されているプログラムを自分のプログラム中に利用(コピー)して良いのかどうか、判断に迷います。
明確に利用が許諾されていないものを利用した場合、後日権利侵害だとして損害賠償などを請求されても困るためです。

これでは、載せたプログラムも絵に描いた餅で終わるかもしれません。

利用可否をハッキリと

このような状況にならないようにするには、予め利用可否を明確にしておくことがとても重要です。
具体的には、どのような場合にどのような方法で利用できるのか、あるいは利用できないのかを、ブログ記事内に記しておきます。

例えば、無条件に利用して良いのであれば

当ブログ内の各記事に記載されているプログラムは、特記されている場合を除き、商用・非商用を問わず自由に利用することができます。

このようにブログサイドバーやプロフィールページなどに記載しておけば良いですし、特定のオープンソースソフトウェア(OSS)ライセンス、例えばMITライセンスを適用するのであれば

当ブログ内の各記事に記載されているプログラムは、特記されている場合を除き、MITライセンスにて提供しています。
Copyright 2018 著作権者名
Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining a copy of this software and associated documentation files (the "Software"), to deal in the Software without restriction, including without limitation the rights to use, copy, modify, merge, publish, distribute, sublicense, and/or sell copies of the Software, and to permit persons to whom the Software is furnished to do so, subject to the following conditions:(以下略。原文参照。 )

このように記載しておけば良いかと思います。

このように予め表明しておくことで、利用できるのかできないのかが明確になり、利用できる場合でも利用者が気兼ねなく利用できることから、双方にとって負担の軽減となります。

OSSライセンスである必要はない

プログラムの利用許諾というと、OSSライセンスを適用しなければならない、と考えている方もいると思いますが、OSSライセンスを採用するか否かは自由に決めることができます。
(※ただし、GPLなど、関連するプログラムのOSSライセンスの影響により、特定のOSSライセンスを適用しなければならない場合もあります。)

OSSライセンスの多くは、著作権者名の表示であったり、ライセンス文の掲載などが求められているものが多いため、それに馴染まないのであればOSSライセンスではなく独自のライセンスを適用しても問題ありません。


ブログなどに掲載されているプログラムは、時に非常に有益なサポートをしてくれます。
そのようなプログラムを合法的に多くの人が利用できるよう、ブログ投稿する際には留意していただけると大変うれしく思います。

なお、一部のブログでは、他人のブログからプログラムをコピーしてきて、あたかも自身が作成したような内容となっている記事も見受けられますが、許諾を得ていたり引用の要件を満たす場合でなければ、止めた方が良いかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?