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深センの電気街と交通システムを見に行ってみました

メイカーズムーブメントとハイテクな交通システムの見学のため、2019年10月に中国のハイテク都市深センに行ってきました。現地で色々と知り得た事を振り返りも含めてレポートします。

■深センに行った理由

・物事の本質なるものを理解する事は、人間が良い感じに生きていくためにとても大事なことだと思っている
・本質理解に至るための筋道として、「物事の本質を理解している状態は、それを作れる状態」という考え方が好き
・その考え方はDIY(Do it Yourself)とハイテクの合いの子のようなメイカーズムーブメントと共通部分が多いと思っている
・メイカーズムーブメントが、今、中国の深センで起きていると聞いた
・ものづくりの企画から試作さらには小規模量産までが短時間でできる物流エコシステムが中国の深センにあり、その環境を求めてハードウエアやITのハイテク企業が深センに集まっているらしい
・加えて、最近の自分のテーマに「移動」があるのですが、深センはハイテクを駆使した交通システムの開発が進んでおり、テーマを進めるヒントが得られるかもしれない
・そのため、少し仕事に余裕もできたし、地理的にも近いし、個人で深センに行ってみた。

■知り得たこと

①ハードウエアの物流システムについて

・華強北に電子部品の問屋街がある。

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・華強北の1.3平方km程度の敷地内に、電子部品の小さな店舗が密集している。秋葉原の30倍の敷地面積と言われる。
・客は基本ビジネス目的。秋葉原のように趣味で電子部品を買いに来ている人は少ないらしい
・土曜日だったからか、午前中は店がまだ殆ど開いていなかった。昼過ぎから客も入って活況に。

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・ざっと全体を華強北を歩いた所、90%はスマホの部品。他はPC部品、スマートウォッチ部品、ハンダ付け工具、計測機器などが目立つ。
・華強北で買える電子部品は、市販品のPCやスマホを分解してバラ売りしているもので、ジャンク品も多い
・深センのエンジニアが品質の高い電子部品を買う場合は、華強北ではなく普通にネット通販で買うとの口コミもある
・店員は10代か20代の女性が7割程度の印象。空いている午前中は子供が店番している時も!
・店と店の間に点々と作業スペースがあって、皆ハンダ付けとかしている ※彼らの中から将来のジョブズやイーロンが…などと妄想しました

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②交通システムについて


・右ハンドル用の道路構造。下の写真は華強北。

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・全てのバスはバッテリー駆動になっているとのこと
・なお自動運転バスが走っているという噂を聞いたが、特定できなかった。
・殆どのタクシーがBYDの電気自動車e6(青色)。街で道路を何気なく見るとほぼ視界に入ってくる程沢山走っている!下の写真は深圳宝安国際空港にて
・ドライバーの車間距離の取り具合は日本より短い。タクシーで空港から街に向かう際に渋滞したが、ぶつかりそうでヒヤヒヤした。

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・電動機付き自転車に乗っている人が多い。道路を見ればほぼ視界に入る位。歩道も車道も関係なく走っていく。ペダルは一応ついているがペダルで漕ぐ人は見られなかった。

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・シェア用の自転車は乗り捨て可能で至る所に駐めてある。テンセント系のMobike社。ただWeChat Pay等の電子決済手段がないと利用できないので、旅行者にはハードル高め。

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・こちらもMobike社製のシェア用自転車だが新型のよう。カゴの部分に太陽光パネルのようなものが見えてときめきましたが、実際には太陽光パネルではなく広告避けのためのプレートだと現地の方が言っておりました。ただこれで広告避けになるのか怪しく、結局このプレートは謎のままです。

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・下の写真のような体重移動で動かせるっぽいパーソナルモビリティに乗っている人もたまにいた。

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・地下鉄は東京の地下鉄ととてもよく似ていた。ホームの作りも電車の内装も似ている。女性専用車両もあった。ただ警備員(警察?)がホームにずっと立って睨みをきかせていたのは違っていた。

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・深圳宝安国際空港は成田空港と同じくらいキレイ。警察が空港の中を電気自動車のように見える車でゆっくりと巡回していた。

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・なお自動運転のスタートアップについて調べたところ、深センに本社があるのは下記の2社
 - Roadstar.ai ... 元BaiduのXianqiao Tongらによって2017年創業。Level4の自動運転システムの開発を手掛けている
 - AutoX ... MITとプリンストンに在籍していたJianxiong Xiaoらによって2016年創業。fully-autonomousな自動運転システムの開発を手掛ける。深センの公道で実車走行試験をしている所の目撃情報有り👀

■現地でどうやって情報を集めたか

・2019年10月に華強北を1日、南山区を1日散策。
・華強北では5人の店員に英語で話しかけたが、全員英語は通じず。ただ皆スマホの翻訳アプリを使うので、会話は成立した。
トラベロコを利用して現地日本人エンジニアにコンタクトし、現地で夕食をご一緒し、色々と教えて頂いた
・グレートファイヤーウォールにより、通常は中国国内からGoogleやTwitterにアクセスできない。そのため現地でもググれるように、香港経由でローミングするプリペイドSIMを用意。例えばこちら

■振り返りと今後

・華強北の電子部品の問屋街は、部品は勿論、そこにいる店員さんなど現場の空気感含め興味深かったです。ただ、ここだけ見ていても、ハードウエアのエコシステム全体は分からないことに途中から気づきました。。実際に開発をしている現場を見るためにコワーキングスペースに入ってみたり、ハイテク企業の中の人にコンタクトを取ったり、華強北の問屋街のバッグにあるであろう工場側にコンタクトを取ったりすればよかったと思います。自分で現地で試しにものづくりをしてみるとさらに良いと思います。
・車のコンピュータの電子部品が華強北にあることを少し期待したのですが、あったのはほぼスマホの電子部品だったのが残念でした。車の大きな潮流である標準化とモジュール化が進めば進むほど、スマホと同様な物流エコシステムが構築されていくのかもしれません。
・交通システムの具体的なテクノロジーとしては自動運転に興味があったのですが、なかなか情報を集められませんでした。ただ深センといえど、今の道路を実証実験などで自動運転で走っている車は珍しいという印象です。
・深センの2社の自動運転スタートアップは、深センの物流エコシステムを利用しているのかとても気になりました。
・今の所、ニュース記事を見ると中国での一番の自動運転のメッカはどうやらの北京のようです。Baiduを代表として自動運転開発企業が多数集まり、また国家プロジェクトのスマートシティ構想の対象の筆頭に挙げられているためです。今度は北京にも行ってみたいです。

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