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逆噴射小説大賞参戦作品

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逆噴射小説大賞に撃ち放った弾丸たちです。
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記事一覧

微睡みの多元樹

 エンジンの唸りがピッチを上げ、体を激しく揺さぶった。  ワールドトレードセンターのツイ…

バール
2年前
30

あるいは、剣楽に痴れたる夜

 澄んだ火花とともに殷々と波打つような斬奏が、俺をうんざりとさせた。  伸びやかに残留す…

バール
2年前
36

葬礼のデックアールヴ

 母様を梅毒で殺した司祭の首が飛んだ。思わず目を背けた。吹き上がる血飛沫を悠々と掻い潜り…

バール
2年前
41

十二人の怒れる魔王

 不死ではなく、無敵。  腕力はもちろん、呪殺の類とて時の止まった存在には無意味。およそ…

バール
3年前
39

塹壕の中に無神論者はいない

 サラエボで放たれた弾丸は、地獄に至る亀裂を大地に刻んだ。  結局のところ、帰るに帰れな…

バール
3年前
60

ひなたのアガペー

「こんなこと言ったらちょっとヒかれちゃうかもだし、自分でもあんまり共感はしてもらえないだ…

バール
3年前
36

錆血戦域 -ショウケツセンイキ-

 十ある〈血の掟〉のすべてを破るなど不可能なはずだった。  それぞれの破戒がファミリーに露見する時期が同時になるよう、周到な計画のもとでことに及んだらしい。  コスカの老人たちは動機が分からず首をかしげたが、「完全破戒の結果何が起こるか」を考える者はいなかった。  鋼と、骨と、糞の混ぜ込まれた挽肉が碧曜岩の壁面に叩きつけられ、飛散した血が鮮烈な模様を描き出していた。  辛うじて原形を残す肉片の皮膚には、葉脈のごとき黙示紋が浮かび上がっている。  むせ返るような異臭の中、ラザ

神の化石 -ガリュンルガプ博物誌-

 最初に言っておく。  この物語は夢オチで終わる。  その上伏線も一切回収されない。  な…

バール
4年前
29

放課後ダークロード

 軽く息を吐いて気持ちを落ち着かせると、最後の仕上げに入る。  両手首を触れあわせ、左手…

バール
4年前
42

クトディガリヌの告解

 終末の秋のごとき黄昏が、ウヴァ・ラキアの外殻に赤銅の鈍光を投げかけていた。荒野に鎮座す…

バール
4年前
41

絶罪殺機アンタゴニアス

 甲弐式機動牢獄は、囚人たちが特殊刑務作業に従事する際に搭乗する更生支援兵器であり、その…

バール
5年前
37