赤ちゃんの言葉(1)

子供が5ヶ月になった。日々表情が増えていき、最近は本当によく笑うようになってこちらの幸福感が半端ない。だからとにかく楽しいことをしようと音のなるおもちゃで遊んだり、絵本を読んだりしている。

しかし絵本を読み聞かせていて、どうも違和感がある。僕も妻も関西弁を話す。一方で僕は東京にも5年以上住んだことがある。流石にしばらく東京にいた時は一定程度標準語になっていたが、ある種の「母語」としての関西弁を大事にしたいと思っている。それなのに、絵本が基本的に標準語で書かれているため、絵本を読むときのイントネーションが標準語になってしまう。「〜〜だよ」などと書いてあるとどうしても関西弁のリズムでは読めないのだ。このままでは子供が関西弁を話さなくなってしまうのでは…と心配をしてしまうのだ。

実は絵本の標準語世界に気づく前から、関西人なのに流暢に標準語を操る人たちがいることに違和感があった。特に若い女性にその傾向が強く、関西以外に住んだことのない知り合いが標準語を使うのはどうも変な気がした。おそらくテレビやYoutube等の影響であろうとは思う。しかし、実は言語獲得期に絵本が標準語であることの影響があるのでは、と考えた。

そう思って関西弁で書かれた絵本を購入してみた。ネットでおすすめされている「ぼちぼちいこか」である。しかし読んでみて、また違和感があったことに我ながら驚いた。確かに標準語よりは読みやすい。しかし微妙に普段使わない関西弁が含まれている。一口に関西弁と言っても地域によってバリエーションがある。結局、かなり寄せてきているが最後に残る違和感が、むしろ標準語よりも強く意識されてしまう。

そして、関西弁はやはり口語が主なのだろうとも思った。絵本が標準語でも、会話が活発にされる年齢になって親と話したり子ども園に行くようになると、やはり関西弁を話し始める。だから僕の杞憂もおそらく会話の上ではそのうち解消されるだろう。会話用の言語として関西弁を学び、その一方で関西弁で書かれたテキストが少ないため、話すことはできても読みにくいのだろう。さて、次はどちらの絵本を買おうか?

(追記)振り返ってみれば、この文章も関西弁ではない。口語と文語を無意識に使い分けているのだ。

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