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#154_【ヘリラボ】ニッポンすみっこ紀行#2_低潮線保全区域

対馬の西側の海岸を歩いていると、こんな看板があることにお気づきでしょうか。

【この近くに「低潮線保全区域がありますよ!」と知らせる看板です。】
【真ん中当たりの凸っぽい黒い影が「低潮線保全区域」を示すもののようです。】

日常の会話で「昨日さぁ、低潮線保全区域に船が乗り上げようとしちゃってねぇ…」とか、まず出てこないと思いますので、簡単に定義を補足したいと思います。


低潮線保全区域とは

「低潮線保全区域」は、平成23年6月に、排他的経済水域等の外縁を根拠付ける低潮線の保全が必要な海域として185区域を指定しています。

「低潮線保全区域」は、人的な損壊による低潮線の消失、あるいは、その位置が後退し、我が国の排他的経済水域等が消失し、その範囲が減少しないようにするために指定しており、同区域においては、低潮線を後退させるような海底の掘削、土砂採取等の行為を規制しています。

政府においては、低潮線保全区域及びその周辺の巡視・調査や行為規制の周知のための看板の設置等を実施しています。

内閣府ホームページ「低潮線の保全」より
2024年7月1日閲覧

離島や国境と縁がない方でも、「領海」とか「排他的経済水域」(EEZ)という言葉くらいは聞いたことあると思いますが、大雑把に言いますとそれを決定するときの基準となる区域が「低潮線保全区域」です。

「低潮線」の定義にも触れておきます。

低潮線とは、干満により海面が最も低いときの陸地と水面の境界線のことであり、海図に記載された低潮線が、我が国の管轄海域の起点となります。わが国の海図は、海上保安庁が作成・刊行しています。

海上保安庁ホームページ 海洋情報部「海洋権益の確保」より
2024年7月1日閲覧

つまり、低潮線保全区域の表面をガリガリ削ってしまい、潮が引いても海水に浸かってしまう(境界が陸側に引っ込んでしまう)と、領海やEEZが狭くなってしまうため、禁じられているわけです。国益を損ねる行為ということですね。

日本にどれだけあるの?

国内に185区域箇所あります。
そのうち対馬には69ありますΣ(゜Д゜)。
全国的に見ても、これだけ集中している地域はありません。
日本一低潮線保全区域のある市…。

「海里」のナゾ

「海里」という言葉も、社会科の授業で言葉くらい聞いたことあるのではないでしょうか。海の距離を測るときの単位ですね。
メートル法に換算すると、1.852kmになります。
細かくて覚えにくいやんけ!と文句のひとつも言いたくなりますが、海ではほぼこれを用います。
船の時速を「●ノット(knot)」といいますが、これは1時間に1海里進む速さを1ノットとして表したものです。
海図を見ながら距離の計算などをしようとすると、結局海里を使ったほうが便利なのだそうです。

一応、覚え方はあるようで

海里は緯度1分、つまり1度の1/60と決めています。
これで、地球の円周(約40,000kmらしい)を計算すると…
1海里(1.852km)×60×360(北と南で90度ずつ、ここまでだと半円なので×2)≒40,000km
になります(^^ )。

領海は12海里(約22km)と定められており、対馬から朝鮮半島までは50kmしかありませんから、対馬に低潮線保全区域が多いのも頷けるのではないでしょうか。

余談ですが、海里は海の「マイル」ということからこのように漢字を当てられているのだと思いますが、陸上でいうマイルと長さが違いますのでご注意を…。
※陸のマイル≒1.609km

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