大停電の夜に

台風は過ぎ去って、色々なものを吹き飛ばしてしまった。
例えば電気。
4時間くらい、ずーっと停電しています。
さすがにこの規模の停電を体験するのは初めて。
茨城県内でも50000戸くらいが停電しているようで、いつ復旧するかは全く分かりません。

あとは雲とか。
知らなかったけれど、今日は満月の日みたいで。
外が何故か明るいと思ったら、外の世界は月明かりに照らされて昼みたいだった。
忘れがちだけれど、満月の明るさって凄い。これについて行けば、絶対に道には迷わないよ。

街灯も町の明かりも全てが無くなってしまったから。今日は星がよく見えます。
満月を背にしているから完全ではないけれど、それでも、大気中の不純物が全て無くなってしまった今、空は星で溢れている。
こうやって星空を眺めていると、自分が宇宙の片隅に立っているんだってことを実感する。
まるで地動説を発見したみたいな感動。
地球は宇宙から隔絶して存在しているわけではなくて、宇宙の中にある。
だから直接的に自分が見上げているのは宇宙であって、スペースシャトルに乗って月面から見る風景とほとんど変わらないんだ。
そう考えてみると、世界の広さを実感する。
台風なんて、宇宙規模で考えると、地球の表面を這い回る薄い雲に過ぎない。
そんな小さい奴に何が出来るっていうんだ。
みたいな。

全感覚祭は、深夜の渋谷ライブハウス7か所で明後日行われるって話だった。
突然決めて、3日で全てを準備するって、笑っちゃうくらいに無謀。
場所もフードも機材も、そもそも出演者だって。
深夜だからブッキングの心配はないって話なのだろうか。
そうであれば、その熱量って凄まじい。
人のエネルギーは何もかもを越えられるのかもしれない。


多分、本当に台風の爪痕が苦しいのはしばらく経ってから。
台風は色々なものを奪っていって、
同時に、それが無ければ見えなかった美しいものを見せてくれた。
それはあまりにも不釣り合いで、
だけど美しい。
絶望するのは自由だけど、でも、世界には美しいものも突発的に現れるから。
だから生きてるんだろうね。

大停電の夜に見えたものは、
台風の力と、人の力。
宇宙の片隅で、小さくて力強い。

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