「遺族」になってしまったら?その③
はじめに
シリーズ最終回です。
ご逝去に伴う手続きは、大きく分けて3つあります。
①公的給付シリーズ
②名義変更・解約シリーズ
③遺産相続シリーズ
今回の記事は、③遺産相続シリーズです。
③遺産相続シリーズでは、スケジュール順に8ステップでまとめます。
①公的給付シリーズはこちらからご覧ください。↓
②名義変更・解約シリーズはこちらからご覧ください。↓
⑴相続税について
〜課税価格の求め方〜
ご逝去された方の残した相続財産から、葬式費用や債務を差し引くことで求めます。
相続財産には、預貯金、有価証券、生命保険金、土地、建物、志望退職金などが挙げられます。債務とは、借入金や未払金のことです。
〜基礎控除〜
課税価格の増額がきぞ控除よりも小さい金額であれば、相続税は発生しません。基礎控除の金額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。
法定相続人が配偶者と子供2人の場合は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となり、遺産総額が4,800万円分もなければ相続税はかかりません。
〜配偶者に対する税額軽減〜
配偶者の法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。申告は必要ですが、婚姻期間の要件はありません。
⑵遺言書の有無の確認
遺言書が無い場合・・・相続人で話し合って遺産分割します。
遺言書がある場合・・・原則遺言書の通りに遺産分割します。
※ご自宅で遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所で検認の手続き必要なので、家庭裁判所に申し出ましょう。
⑶相続人・相続分の確認
配偶者は常に相続人になります。配偶者以外の相続人には優先順位があり、先の順位の人がいる場合は、後の順位の人は相続人になりません。
第1順位・・・子
第2順位・・・父・母
第3順位・・・兄弟姉妹
法定相続分は、原則的な分割割合です。相続人全員の同意があれば、法定相続分通りに分割しなくてもOKです。
相続人が配偶者と子の場合・・・・・1/2ずつ※
相続人が配偶者と親の場合・・・・・配偶者2/3、親1/3
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
※子が4人いる場合は、子全体に1/2もらっているので、1/2÷4で一人分は1/8になる、という考え方です。
⑷相続財産の把握
相続する財産が何になるのか把握します。
預貯金、現金、有価証券、生命保険、家具、貴金属、美術品、借地権、借家権、農地、山林、自動車、ゴルフ会員権、リゾート会員権、不動産、退職金、債務etc…
それぞれの相続財産としての評価額をそれぞれの計算方法で算出し合計する、という流れです。
⑸相続放棄と限定承認〈3ヶ月以内!!〉
残された債務が多い場合は、相続を放棄すること(相続放棄)またはプラスの財産を限度に債務を相続すること(限定承認)を選ぶことができます。申し立て先は家庭裁判所です。
ただし、3ヶ月以内に申し立てなければ債務含む全ての財産を無条件で相続したことになってしまいます。
相続放棄は相続人が単独でできますが、限定承認は相続人全員で行う必要があります。
⑹所得税の準確定申告〈4ヶ月以内!!〉
ご逝去された方の所得税を申告することをいいます。
給与所得者の場合は原則勤務先で年末調整されるので不要です。下記の場合は必要です。
・自営業などで毎年確定申告をされていた場合
・高額の医療費を支払った場合(医療費控除を受ける場合)
・家賃収入など給与以外の収入があった場合
・住宅ローン控除を受けていた場合 などなど
⑺遺産分割協議〈10ヶ月以内!〉
遺言書が無い場合、相続人全員の合意によって分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。必ず作成する必要はないのですが、前回の記事で取り上げた各種の名義変更や解約の必要書類に頻出していましたよね。あのような手続きに必要になってくる場合があるのです。
相続税の申告が必要な場合は、相続税の申告期限は10ヶ月なのでこちらも10ヶ月以内には必ず行う必要があります。
〜遺産分割の方法〜
・現物分割・・・遺産を現物のまま相続人が引き継ぐ
・換価分割・・・遺産を売却して現金に換え、現金を分割する
・代償分割・・・ある相続人が遺産を引き継ぎ、他の相続人に代償金を払って分割
・共有分割・・・遺産を現物のまま相続人で共有する
〜遺産分割協議書作成の主な注意事項〜
・相続人は自署、捺印(実印)
・遺産を取得しない人も署名
・印鑑証明書を添付
・誰が、どの財産を、どれだけ取得するかを明確に
・不動産の住所は登記簿通りに
・未成年がいる場合は、特別代理人が署名 などなど
⑻相続税の申告・納付
ご逝去された方の住所茅野所轄の税務署に、10ヶ月以内に申告・納付です。
申告期限までに遺産分割間に合わない場合は、法定相続分通りに申告したものとして一度申告し、5年以内に修正申告(内容が違った)か更正の請求(払い過ぎた)をします。
納付は、基本的に現金一括です。すぐに払えない場合は、延納(分割払い)や物納(債権や不動産など相続財産で払う)という方法もあります。条件があるので、申請しても認められないこともあります。
その③まとめ
③遺産相続シリーズのポイントは「難しい上に急ぐ」ことでしたね。相続財産が金額的にも種類的にも少ない場合は苦労しないと思います。しかし、不動産や有価証券などがたくさんあった場合、それぞれの評価額はいくら?というところから始まります。また、ご遺族様が存在を知らなかった資産があるかもしれません!「終活」の大切さを改めて感じますね。
なお、相続税の納付は税務に関わることなので、税理士さんの専門領域です。具体的な質問などは、所轄の税務署に問い合わせるか税理士さんにお聞きしましょう。
「遺族」になってしまったら?全体のまとめ
3記事連続で「遺族」になってしまった時にすべきことをまとめてきました。
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