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#13 カリビアンクルーズでロマンティックに浸る

私の40歳の誕生日をカリビアンクルーズの船上で祝いたいと兼ねて彼が予約していた、初めてとなるクルーズに出発した。私がいままで経験した旅行の中でも一番贅沢でロマンチックになった。まして海好きの私にとってはたまらない。青い空と青い海の真ん中で、何が起こるのかワクワクしていた。

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大きなクルーズ船に乗船すると、すでに多くのアメリカ人が乗り込んでいて、皆表情が明るく、カクテルやワインを手に恋人や家族と語らっていた。

私たちは窓付きの部屋に案内され、そこでサプライズの大きなバラの花を受け取った。これは彼がサプライズで用意してくれたもの。私のクルーズスピリットは大きく高鳴り、夢のような舞台で主役を与えられたような気分になった。

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クルーズは、超贅沢な事を毎日やっても許されるスペースと知った。イベントやオプショナルツアーなどすべて彼がセットアップしてくれた。海を眺めながらのスパやネイルやフェイシャルまで、これまで味わった事のないラグジュリアスな体験だった。


夜のイベントで私の好きなダンスパーティーで、彼はタキシード姿で現れた。私はロングドレスを着て、紳士淑女を演出したり、まるで新婚気分。私達は全身全霊でこの旅行を祝い、ロマンチックなムードに浸っていた。
まるでカリブの海を独り占めしているような錯覚に落ちるほど360度美しい海に囲まれ、潮風が吹くデッキに座り、カクテルを飲んだ。私達の雰囲気は絶好調に達した。

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すると、「僕たち結婚しない?きっとハッピーになれると思う。どうしたら結婚してくれるの?」と言った。「え」?私は正式なプロポーズとは受け止めていなかったので、心地よく彼からの愛の言葉を聞き流していた。その夜、最高の誕生日をエメラルドグリーンに輝くカリブ海で何度も愛を確かめ合った。


サンフランシスコに戻ってから、私達はまるでもう家族のように、新しい家を探したり、新しい家具を買ったり、一緒に指輪を見に行ったり、私の“結婚”に対する期待と夢は大きく膨んでいった。
「きっと私はこの人と結婚する」。この人となら私の理想のライフスタイルが手に入ると思った。ロマンス、お家、そしてヨーロッパとアメリカに拠点を置くライフスタイルが可能になる。2人ともパソコンひとつで世界どこでも仕事ができるライター。未来の人生をカタチをお互いに想像していた。


愛しているのに、どうして2人は傷つけあうの?


しかし、そんなおとぎ話のようなストーリーは長く続かなかった。現実は、愛していても傷つけあう恋人のフェイズに入ってしまった。特に彼は好きになればなるほど相手を独占したい気持ちが強まって、私の自由を尊重しなくなり、やきもちを焼いたり、また自分の習慣や考えを私に押し付けたりしていた。独占欲が強い彼といくら楽しい週末を過ごしても、家に帰るとどっと疲れていた。


彼との喧嘩は次第にエスカレートした。その度に夫を想って泣いた。夫は私を泣かせたりする事は一度も無かったし、いつも私を中心に物事を進めていた。


そこには全く違う“愛”の形があった。ひとつは自分の気持ちを犠牲してでも相手の幸せを願う“犠牲愛”と、もう一つは、自分中心に物事を進め自分のものさしで相手を判断する“自己中愛”だ。この思いやりの違いは、後になって私に深い疑問を抱かせる。自己中心的な愛は、相手を変えようとするヘンな力が働く。愛しているのに、どうして2人は傷つけあうのか、どうして恋愛にストレスを感じるのか、その時はわからなかった。

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