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【ペイトナー】資金調達:各ラウンド毎の仮説検証と課題

読む時間:4分
難易度:★★
おすすめ:スタートアップのCxO
ラウンド:ALL

こちらの記事は、ペイトナーCEO 阪井 優さん
登壇していただいたビークラの研修内容の一部です。

資金調達の際に、ラウンド毎に自分たちが何を検証しようとしているのか、ストーリーに一貫性はありますか?

  • 仮説検証と、今後の成長戦略とのつながりを十分に説明できていない

  • 同時に多くを検証しようとしてしまい、優先順位がつけられていない

このような悩みに対して、この記事では

  • シードからシリーズBでそれぞれ行なった仮説検証と資金調達の流れ

  • デッドファイナンスの活用の検討

について、ペイトナーの実例と共に解説していきます。


【実例】ペイトナーのビジネスモデルと初期に直面した課題

ペイトナーが運営するペイトナーファクタリングは、中小企業やフリーランスを対象とした請求書前払いサービスを提供しています。

企業が発行する請求書の支払い期日を待たずに、ペイトナーがその請求書を買い取り、迅速に現金を提供するビジネスモデルです。

👉ペイトナーが各ラウンドでどんな仮説検証を目指し、資金調達を行なっていったかを見ていきましょう。

シード期:プロダクトのニーズ検証

2019年4月に創業したペイトナーは、同年9月に初のサービスをリリースしました。このシード期における資金調達の目的は、プロダクトの市場ニーズの検証でした。

最初の資金調達では、インキュベートファンドやエンジェル投資家からの支援を受け、プロダクト開発と人材採用を進めました。
当時の仮説は、「フリーランス向けの前払いサービスに市場ニーズがあるか」というものでした。この仮説を検証するために、SNSやプレスリリースを活用し、低コストでの市場投入を図りました。

結果として、サービスは大きな反響を得ましたが、ビジネスモデルの特性上、資金が早期に消耗するという課題も浮上しました。
この段階で、ニーズの存在を確認する一方で、事業継続に必要な資金規模が想定以上であることが明らかになりました。

シリーズA:事業のスケールとマーケティング戦略

2020年に入ると、さらなる資金調達が必要となり、シリーズAに移行しました。この時期の資金調達の目的は、事業のスケールアップと効果的なマーケティング戦略の確立です。

シリーズAでは、再度インキュベートファンドがリード投資家として参加し、他のエンジェル投資家も加わりました。この資金を活用して、ペイトナーはGoogleやYahooのフィード広告に本格的に投資し、より広範囲の顧客層へのリーチを目指しました。また、マーケティングの専任担当者を業務委託で採用し、仮説検証を進めました。

この時期の仮説は、「オンライン広告による顧客獲得が事業のスケールアップに効果的か」というものでした。実際、広告投資によって一定の成果を上げることができ、サービスの認知度も向上しました。

シリーズB:ブランドの認知度向上と持続可能な成長

2022年9月には、新たなプロダクト「ペイトナー請求書」をリリースし、シリーズBに向けた資金調達を開始しました。この段階での仮説は、「ブランドの認知度向上が持続可能な成長に繋がるか」というものでした。

シリーズBの資金調達では、ダブルファンド(ミクシーのCVCファンド)がリード投資家として参加し、22億円の資金を確保しました。この資金を用いて、YouTubeやTikTokなどのSNSを活用した動画マーケティングを開始しました。特に、インフルエンサーマーケティングを活用することで、ブランドの認知度を飛躍的に向上させることに成功しました。

この時期の仮説検証により、SNSマーケティングが顧客層の拡大に効果的であることが確認され、今後の成長戦略において重要な要素となりました。

デットファイナンスの活用の検討

スタートアップにおける資金調達は、エクイティ(株式)だけに依存するのではなく、デットファイナンス(借入資金)も活用することが、成長を加速させるための手段の一つとなります。

ペイトナーでは、各フェーズにおいてエクイティとデットファイナンスを効果的に組み合わせる戦略を取りました。

特に、シリーズBに向けた資金調達の際には、ベンチャーデットや社債の発行を通じて、エクイティの希薄化を抑えつつ必要な資金を確保しました。
ベンチャーデットとは、スタートアップが一定の収益を上げ始めた段階で、金融機関やファンドから借入を行う資金調達手法です。この手法を活用することで、エクイティの割合を維持しつつ、より多くの資金を調達することが可能となります。

また、様々な資金調達方法を取り入れることは、事業の安定性を高める効果もあります。複数の資金源を確保することで、特定の投資家や市場動向に左右されず、柔軟に経営資源を投入できるようになります。


いかがでしたでしょうか?

こちらの内容は、SaaSでシリーズBの資金調達をした時の論点という研修コースの、一部(動画1本)を記事化してお届けいたしました。
本編では、についてを詳細に解説しています。

研修コース名:SaaSでシリーズBの資金調達をした時の論点
合計研修動画数:4本
合計研修動画時間:17分(2倍速で視聴の場合、9分)
スライド資料:24ページ

登壇者は、
ペイトナーCEO 阪井 優さん

■ビークラについて
ビークラは、起業家・スタートアップ人材が本当に知りたかった、ユーザー獲得戦略やPMFまでの仮説、資金調達や会社の解散まで、実際にいま事業を推進する先輩のナレッジを、最大限わかりやすく、効率的に知ることのできる、スタートアップナレッジコミュニティです。

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