「色んな泡のかたち」 #声なき大地の詩
ドメーヌ：Domaine Fischbach / ドメーヌ フィシュバック
造り手：Jean Dreyfuss / ジャン ドレフュス
ワイン：Crémant d’Alsace Brut / クレマン ダルザス ブリュット
ヴィンテージ：NV
タイプ：泡
産地：フランス アルザス地方
品種：シャルドネ 60%、オーセロワ 40%
強力なブランド力を持つ（そして文字通り世界のトップブランドがその資本を投下している）シャンパーニュを筆頭に、スパークリングワインの世界は、ぶ厚いファン層に支えられています。
ただ一口にスパークリングワインと言っても、その製法やコンセプトから様々な「泡のかたち」が存在している。製法ごとに説明していると長くなってしまうので、ここでは説明しませんが、とにかく泡好きの人は多い。
では、「ワインは自然派」がコンセプトのbe a good friendは、数ある泡のなかでもどんな「泡のかたち」をイチオシするのかと言うと、原材料は自分の畑でとれたブドウだけ！というのを目指すタイプ。
シャンパーニュなどあの高貴な泡を生み出す画期的な発明は、一度作った普通のワインにさらに酵母と糖分を添加して瓶内二次発酵させると言うものでした。
しっかりとした泡立ちがありながらも細やかで、口当たりも優しいと言う、その絶妙なバランスは、かつてのフランス皇帝ナポレオン ボナパルトに「余はシャンパーニュなしでは生きられん。」と言わしめたとか（もっとも当時のシャンパーニュには濁っていたと言う説も、それはそれで個人的には良いなと）。
しかしながら、この高貴な泡立を獲得するために添加する酵母と糖分に関して、現代のシャンパーニュの規制では、培養酵母（ざっくり言うとドライイースト的なもの）と蔗糖（ざっくり言うと砂糖）の添加が義務付けられていると言います。
この義務は結構強力で、ものすごく野心的なピュアリストのシャンパーニュの生産者であってもこの義務を果たさない限りシャンパーニュを名乗れないため、自分の畑のブドウ由来の酵母を培養し添加酵母状にしたものを使用したり、使用する砂糖をオーガニックシュガーにしたり、ブドウ由来の糖分を分離したものを使ったりと工夫しています。
ではこの酵母・糖分添加を行わないタイプのスパークリングワインは存在するかと言うと… 答えは”YES”です。
これも、かなりはしょって説明すると、大きく分けて2タイプあって、ペティアン ナチュレルとよばれる糖分添加行わずに初期発酵の際に発生される炭酸ガスをワインに閉じ込めたもの（多くは微発泡）と今回ご紹介するシャンパーニュと同じく瓶内二次発酵を行っているが、二次発酵の際に翌年のブドウの糖度の残ったモスト（発酵前のブドウ搾汁）を添加するものです。
前書きが長くなってしまいましたが、今日ご紹介するのは後者のほう。ある程度の糖度のあるモストが手に入れることができるなど気候的条件もあり、このタイプはアルザス地方の自然派ワイン生産者で多く見られます。
2017年が実質的な初ヴィンテージという、若い作り手であるドメーヌ フィッシュバックのジャン ドレフュスも二次発酵時の酵母及び糖分添加をせずに、翌年に糖度の残ったモスト（ブドウ搾汁）を加えて瓶内二次発酵を促すスタイルでスパークリング ワインを手掛けています。
このワイン、ブドウ自体はビオロジック認証を取得している友人から買い入れて造ったものですが、シャルドネ主体ということもあり、香ばしいタイプではなく、柔らかで丸みのある果実味と爽快な酸味とのバランスが心地良いワインです。繊細ながらもしっかりとした泡立ちがあり、親しみやすさも気品も感じられるバランスです。
ドメーヌ フィッシュバックのジャン ドレフュスという人は、ガチに真面目な性格で、そんな彼のまっすぐな性格は、このワインのきっちりと定まったフォーカスからも感じ取れます。
爽快なスパークリングワインなので、しっかりと冷やしてスッキリと飲むのも良いですが、先日我が家では、鳥のひき肉にレモンバジルをたっぷりと練り込んだタネを使った水餃子や焼き餃子と一緒にこのワインを楽しみました。
ふわっと香るレモンバジルのやさしい柑橘の香りが、ワインの風味を一層引き立てるように感じられて、これはこの夏何度でも食べたい！飲みたい！と思わせてくれるすごく仲良しな組み合わせでした。
なかなかレモンバジルは手に入らないと思いますが、ハーブをたっぷり加えて、ちょっとアジアン風の仕上がりになった水餃子や焼き餃子とは抜群の相性だと思うので、チャンスがあれば試していただきたいです。
あ、もちろん餃子に限定せず、ハーブを使ったアジアン風のお料理にも合いそうなのでこちらも是非！
be a good friend は、ヨーロッパを中心に自然派ワインを輸入し、造り手の想いに共感してくださる全国のワインショップさんなどに販売するワインインポーターです。
また自然派ワインの部門とは別に、国内の自然栽培の農家さんのお野菜を全国の飲食店さんや、個人の方にインターネット販売を行う八百屋部門のポム・ド・テールも活動中。
研究者の方や様々な分野のプロフェッショナルの方の力をお借りして、「幸せなな食卓で未来を明るくする」を一歩すすめるためのwebセミナーを開催していきたいと思っています！頂いたサポートはそちらの運営費用に使わせて頂きます。