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VINAIOTA|ラ ボルガッタ 2014 #ある日のワインのスナップショット

自然栽培の八百屋 ポム・ド・テールも
自然派ワイン輸入の be a good friend も

その拠点は茨城県つくば市。

様々なご縁もありこの場所を選んだのは、ここには美味しいものを心から愛するコミュニティがあったから。

「美味しい」の形にも様々な形があると思いますが、中でもつくばでは、素材のシンプルな味わいが素直に感じられ、その美味しさの源泉が、豊かな自然環境に由来するものと多く出会うことができます。

ワインの世界で言うと、長年様々な常識と戦い、日本における自然派ワイン(とは彼らは呼ばないでしょうが)、その文化の礎の一端を築いてきた輸入元ヴィナイオータさんの存在は大きいです。

ご近所のよしみもあって、ポム・ド・テールで販売している「季節のおすすめ果実酒&野菜BOX」には、自社で輸入したワインだけでなく、ヴィナイオータさんのワインも登場します。

今日はそんなワインのご紹介。

涙ながらに鍵を渡す、そんな絆の物語

ワイナリー:Borgatta / ボルガッタ
造り手: Emilio Oliveri & Maria Luisa Barizzone / エミーリオ オリヴェリ & マリア ルイーザ バリゾーネ

ボルガッタは、エミーリオ オリヴェリとマリア ルイーザ バリゾーネ夫妻によって営まれるイタリア ピエモンテ州 タリオーロ モンフェッラートのワイナリーです。

1948年、第二次世界大戦の戦禍の記憶がまだ生々しい時代にマリア ルイーザの父によって創業されました。父親がその人生を捧げたブドウ畑を夫妻が引き継いだのが1980年代のこと、以来、その土地や土壌や伝統に敬意を払い、実直にワイン造りを続けてきたといいます。

認証を取得した有機栽培を続け、自然酵母による発酵を経たワイン造りを80歳を超えた現在も夫婦揃って畑に立ち、続けています。

そんな夫妻のワインですが、長らく地元での理解者に恵まれず、それでも自身の信じるブドウ栽培・ワイン造りを続けてきましたが、そんなワインたちが日本に旅立つことで、新しい物語がはじまりました。

地元ではあまり見向きもされない夫妻のワインが、遠く離れた日本で多くの人に愛されるようになり、ついには飲み手との絆をより近く感じるためにエミーリオ自身も日本に来ることになり、30年以上取り組んでいた自分たちの仕事が、多くの人に幸せをもたらしているのを肌で感じることになる。

近隣に理解者がいないと絶望して取り組みを続けられなくなってしまう人も多くいるなかで(それ自体は普通のことですが)、自分たちが長く積み上げた歴史と伝統を、物理的距離はおろか言語も文化もはるか遠い日本に理解者を見つけ、歩みを続けていくことができる。

このような関係性を生み出すことがまさに、資源とエネルギーを使って遠く離れた国からワインを届ける意義のひとつだと考えています。それによってまもられる大地と伝統があり、飲み手の心にも新たな感情のゆらめきを生み出してくれる。この循環は大切にしていきたいと思います。

さて、そんなボルガッタを巡る物語で、個人的に一番ぐっとくるのが、夫妻のワインを見出した輸入元のヴィナイオータの太田さんが、彼らのもとを何度目かに訪問した際に、エミーリオが目に涙を浮かべながら家の鍵を差し出し、「この鍵を君にあげてもいいっていうくらい、君の事を信用しているし、君が僕たちの為に日本でしてくれている仕事に対して最大限の敬意を払っているよ。」と語ったという話。

親子ほども歳の違う二人が、年代も国も超えて共感しあえる。こういう連鎖が広がれば、世の中はもう少し平和になるのになと思います。

若いもんに負けないぞ!な気概ではなく、良き相談役のような優しさ

さて早速、ある日の「ラ ボルガッタ 2014」のスナップショットです。

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ワイン:La Borgatta / ラ ボルガッタ
ヴィンテージ:NV(2014)L14-02-17
タイプ:赤
産地:イタリア ピエモンテ地方
品種:バルベーラ 100%

ボルガッタでは、バルベーラとドルチェットという二つの品種からワインを作っています。ワイナリーの名前を冠したラ ボルガッタは、バルベーラから作られるワインです。

2014年は太陽に恵まれなかった年ということですが、ワインの濃度に対する分水嶺をどこに置くかは人によって当然異なり、個人的には「線が細い」というよりむしろ well balanced(なぜに英語?すいませんちょっとかっこつけました)という印象。

ちょうど今年のように暑さの厳しかった夏から涼しさを感じる秋に移ろいゆく中で、そしてそれに伴い、日に日に増していく食欲と豊富な食材たちと伴走してもらうには、絶妙な塩梅です。

ワインを評する表現に「土っぽさ」というわかったようなわからないような表現がありますが、やっぱり使ってしまう「土っぽさ」があり、2014年に生まれて、今日現在まで熟成を続けてきた、その大人っぽさや落ち着きというのもこのワインの魅力です。

パン!と弾けるようなフレッシュさでもなく、むんむんと感じるような色気でもなく、素朴で滋味深い味わいは、茶の湯の世界(と言いつつ詳しく知らない)に通じそうな佇まいを感じ、派手さは全く感じません。

かといって「枯れた」と表現するには、繊細ながらもいろんなエネルギーが重層的に感じられるので、 まだまだ「みずみずしさ」を感じます。

造り手の年齢などにも思いを馳せると、そのあたりの印象ともオーバーラップしますが、「まだまだ若いもんには負けないぞ」みたいなタイプではなく、良き相談役のイメージ。

チーズ、キノコ、ジビエ… 秋の味覚と一緒にスイスイ飲み進みたい一本です。

おわりに

be a good friend は、ヨーロッパを中心に自然派ワインを輸入し、造り手の想いに共感してくださる全国のワインショップさんなどに販売するワインインポーターです。

また自然派ワインの部門とは別に、国内の自然栽培の農家さんのお野菜を全国の飲食店さんや、個人の方にインターネット販売を行う八百屋部門のポム・ド・テールも活動中。


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