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心震えるかけがえのない瞬間 #声なき大地の詩

映画関連の仕事に就いていたレナとアレクシスの2人が2019年に立ち上げたのがレ ボア ペルデュ。

南フランスのアルデッシュの地に、彼らの住まいや醸造所、小さなモンゴル式のテントを設置したジット(貸別荘)、ラベンダー、オリーブ、アーモンド、サインフォイン等が息づく22haもの広大な地所を取得して、ヴィニュロン(ブドウ栽培者・ワイン生産者)として生きる道を歩み始めています。

彼らの時にはまだブドウが実っていません。植樹から始めて、これから長い年月をかけてブドウを栽培し、自分たちのワインをつくるプロジェクトです。

そのため、スタート当初は近隣のブドウ栽培農家やワイン生産者からブドウ買い付け自分たちのワインを作っています。

今回ご紹介する2020年のワインたちも、彼らと繋がりのある人々から買い付けたブドウで作ったレ ボワ ペルデュの記念すべき2年目の作品たちです。今日はその一つをご紹介します。

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ドメーヌ:Les Bois Perdus / レ ボワ ペルデュ
造り手:Léna Perdu & Alexis Robin / レナ ペルデュ & アレクシ ロバン
ワイン:Elle Tremble / エレ トランブル
ヴィンテージ:2020
タイプ:赤
産地:フランス コート デュ ローヌ地方
品種:メルロー 100%

レ ボワ ペルデュの2年目の作品のひとつ、エレ トランブル。初ヴィンテージの2019年に引き続いての登場です。「彼女は震えている」という意味のこのワインは、彼女たちの初ヴィンテージの思い出のエピソードにちなんで名付けられました。

初ヴィンテージとなった前年、2019年の夏は、非常に過酷な暑さに見舞われた年で、ブドウはどんどんと凝縮していき、潜在アルコール度数は15%にまで達するようになりました。

ここまでの潜在アルコール度数を備えたブドウをサン スフル(亜硫酸無添加)でワインに仕上げるのは、一筋縄ではいきません。 常にヴィネガーになってしまうリスクをヒヤヒヤしながら見守りながら、ついに完成したワインは、非常にバランスの優れた柔らかい果実味とたっぷりの旨味を備えたワインとなりました。

キュヴェ名の由来は、発酵中のこのワインが冬の気温低下でその発酵を止めてしまった(造り手としては非常に心配な状態な)まさにその時、この地域では珍しい大きな地震が発生しました。村の古い教会の壁が剥落するなど、地震に慣れていないこの地域の人々にとってはかなり驚いた出来事だったと言います。

ところが、その地震が起こったまさにその時から、止まっていた発酵が再開したのです。この大地の震えによって、ワインが救われたことから「エレ トランブル(彼女は震えている)」と名付けられました。フランス語で「大地」は、la terre(ラ テール)という女性名詞なので、「彼女は震えている」という名前につながるわけです。

加えてもうひとつの意味が、長らく映画関連の仕事に就いていたレナとアレクシが馴染みのある表現で、大きな舞台に立つ前に緊張と高揚感から体が震えてしまう武者震いのような表現がフランス語にもあり、人生初となるワイン造りとなったこの年の自分たちの姿と想いを重ねてこの表現を使用したとも言います。

さて、そんな思い出深い名前のこのキュヴェも2年目となりました。前年に引き続き、2020年も濃密ながら引っかかりを感じさせないなめらかな果実味と黒スグリやブラックベリーのような艶っぽさのある香りがあり、ほんのり上質なカカオを思わせるスモーキーさも感じます。低い重心の落ち着いたボディがありつつもみずみずしさも損なわれず、素朴ながらも華やかさも備えたバランスとなっています。

収穫したブドウの半分を除梗し、残り半分は房ごと圧搾して、ブドウの果皮等に自生する自然酵母での発酵を経て、厳密な清澄や濾過(ろか)を行わず、瓶詰めに至るまで亜硫酸(酸化防止剤)無添加で造られました。

おわりに

be a good friend は、ヨーロッパを中心に自然派ワインを輸入し、造り手の想いに共感してくださる全国のワインショップさんなどに販売するワインインポーターです。

また自然派ワインの部門とは別に、国内の自然栽培の農家さんのお野菜を全国の飲食店さんや、個人の方にインターネット販売を行う八百屋部門のポム・ド・テールも活動中。


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