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箸休め3 YOME-YOME Vol.8

『YOME-YOME』という小冊子があるね。
天理教婦人会本部から出しているものだと思い込んでいたが、婦人会の河原町支部あゆみ会というところが編集と発行を兼ねているようだ。
インスタグラムにもサイトがあり、「お嫁さん応援マガジン」と銘打たれていた。

YOME-YOME Vol.8

毎号上級教会から送られて来ており、誌名と装丁からして若い女性向きの冊子であるとは思っていた。なので申し訳ないことではあるが、今日まで一度も開いてみたことはなかった。
今朝、偶然にも友達が『YOME-YOME』に関する「はあ?」なツイートをしてたので、初めて読んでみた。
表紙をめくると「新しい『私』になる」というタイトルの文章があった。
臨時収入を得た奥さんが、心優しいご主人の心遣いで美容院で髪を染めることになり、その時に思ったことが書かれていた。
要約すると、

主人から「思い切って今できる限界の色で染めて、俺をビックリさせてほしい」とのリクエストがあり、金髪に近い明るい色に染めることになった。(アラフォーのこととて)そんな髪色に染めるのは久しぶりだったので、不安と期待でドキドキしながら美容室に行った。その時にふと思ったのが、普段、周囲の目を気にして「みんながこうだから」とか「こうあるべき」と自分で自分を枠にはめていたということだった。
独身時代に好きだったことにも興味が無くなり、自分の好みすら分からなくなるほど心に余裕が無くなっていた。「私ってこんな人間だったんだ」と落ち込みもした。主人はそんな私を見かねて背中を押してくれたのかも知れない。私のことを私以上に分かってくれている主人からのアドバイスだったのだ。
主人の望む「私」こそ、私がなりたい「私」なのかも知れない。
これまで趣味も嗜好も違う主人からの提案に反対ばかりし、自分の思いを優先してきた私は自分自身で色々な可能性を無くしていたのかも知れない。
髪を染めた後、私を見て「若返ったね!」「よく似合ってるよ」と言ってくれる周囲の反応に、主人は私以上に喜んでくれている。改めて主人のお陰を感じ、これからも主人の望む新しい「私」でありたいと思った。

YOME-YOME Vol.8より要約

とまあ、こんな感じの内容だった。
素敵なご夫婦だな。という感想を持たれる方も多いと思う。
イメージとしては経済的に困窮していない家庭で、旦那は物わかりがよく、奥さんは少々気が強いが、基本的に仲の良いご夫婦。たまには喧嘩もするが、離婚の危機に至るような心のすれ違いはない。
って感じかな。
今時そんなドラマに出てきそうな素敵な夫婦など、天理教でも珍しいと私は思ってるのだが・・・。
正直なところ、私はこの記事を読んでとても残念に思った。いや率直に言うと「残念」ではなく、「アホか」と思った。「気持ち悪っ!」と思った。(あくまでも個人的な感想です)
この筆者が自分を省みて、間違っていたことに気づくところは本当に素晴らしいと思う。言葉で言うほどそれは簡単なものじゃない。でも。

・主人の望む「私」こそ、私がなりたい「私」なのかも知れない。
・これからも主人の望む新しい「私」でありたいと思った。

ってか。おい大丈夫か?
主人の望む「私」こそ、私がなりたい「私」って、そうとうキモいこと言ってるよ。キモいだけじゃなく、危険だよ。たとえご主人が完全無欠の人だったとしても。
お道の教えからして、これが正しい思案の仕方と思ってたら大間違いだぞ。
どこがおかしいんだ?ってか。そんなもん自分で勉強しなさい。
この記事が掲載されたVol.8にはこの他にも2篇の記事があり、ご主人や義父との関係について、自らを省みたことによって成長できたことが書かれている。歯に衣を着せずに言うと、似たようなことしか書かれていない。
YOME-YOMEって全部こんな感じなのだろうか。確かに旦那や義父母を大事にすることは大切だけど、ただでさえも敵陣(個人的見解ね)で孤軍奮闘するお嫁さんに、更に自分を省みることを誘導する必要があるのだろうか。そりゃ胸に手を当てて自らを省みることは必要かも知れない。でもすでに頑張りすぎて心が折れかかってるお嫁さんだって多いといんだよ現実は。
それに旦那が立派だとは限らないよ。ろくでなしの旦那だったらどうするんだよ。大酒飲みとかDV野郎とか博打打ちとかさ。そういう旦那と結婚した場合の嫁としての対応方法を教えてくれたほうが嬉しいんじゃないかな。
いわゆる出来た嫁像を描き出すのが『YOME-YOME』の編集方針だというなら仕方ないけど「お嫁さん応援マガジン」と銘打つなら、頑張っても報われないお嫁さんに寄り添う誌面づくりをお願いしたいな。「主人の望む私になりたい」なんて言葉にするだけで気持ち悪いよ。

ひょっとして『YOME-YOME』は『みちのだい』に掲載された婦人会長さんの言葉に影響を受けているのだろうか。

戦後だんだんと欧米化が進む中での思想の変化もあり、昔から受け継がれてきた日本の精神というものが希薄になって、仕込みやしつけがしにくくなるというのは仕方ないことなのかもしれません。しかし信仰的な考え方、信念というものは、世上の思想や風潮に左右されずに、変わりなく伝えなければなりません。

『みちのだい』2022年5月号

いやいや、欧米化が進んだことによって教祖が望まれた男女同権、ジェンダー的平等が実現しやすい世界になったんだよ。「古い日本の精神」は女性の権利や自由な発言を許さなかったじゃないか。
こういうのは知の退行であり、思想の誘導とも言えるんじゃないかな。
ああ、また色んな人から叱られることを書いてしまった。まあいっか。

ではまたいずれ。

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